昨年が生誕100周年だった漫画家の水木しげる氏(2015年死去、享年93)。国民的な作品となった『ゲゲゲの鬼太郎』をはじめ、妖怪研究家としても知られる同氏の膨大な仕事はその後の「妖怪ブーム」につながっている。芸人・なべやかんが、水木氏の功績に由来する「妖怪検定」に合格した後輩に話を聞いた。
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昨今、検定ブームが起こっている。コロナ禍の緊急事態宣言中は「資格でも取るか!」と考えた人も多かったはず。そんな検定の中に「妖怪検定」というのがあるのをご存じだろうか?
「境港妖怪検定」は日本各地に伝わる妖怪伝説を「資格」として認定する検定試験である。鳥取県の境港商工会議所・境港市観光協会と、東京都の調布市観光協会が主催し、年に1回、境港会場(鳥取)と調布会場(東京)で試験が行われる。
境港市は水木しげる記念館や水木しげるロードがあり水木先生が育った場所。調布は亡くなるまで住まわれていた場所だ。
昨年11月、境港妖怪検定中級に合格した芸人・三平×2(みひらさんぺい)に話を聞いてみる事にした。
「検定は2006年から始まりました。初級・中級・上級とあり、上級は中級を合格しないと受けられません。14年に初級を受けたのですが、初級は妖怪になじみがあれば合格できますが、中級から難易度が上がり、マニアックになります。20年と21年年は開催されなかったので、苦節8年ようやく中級が受かりました」
検定には公式テキストがあり、初級は「水木しげるロード全妖怪図鑑」、中級は「決定版 日本妖怪大全 妖怪・あの世・神様/水木しげる著」(出題範囲は妖怪のみ)から出題される。日本妖怪大全は文庫サイズなのにサイコロのような厚さ!
「この中から出題されるので傾向と対策をしないと受からないと思いました。出題は選択、〇×、穴埋め問題です」(三平×2)
では、どんな問題が出題されるのか?
「体がウロコで覆われ、髪の毛が長く、くちばしのような物がありキラキラと輝いている。この妖怪名は?」
答えはコロナで有名になった「アマビエ」なので答えられる人もいるだろうが、「出現地は?」と言われると困ってしまう。
ほかには「夜中に遠方で餅の粉を叩くような音が聞こえる。音が近付いてくる時は『餅の中にかき込まれる』と言って運が向くが、逆に遠ざかっていくと『餅の中からかき出される』と言って運が衰えていくといわれる妖怪名は?」。正解は「静か餅」。これは難解だ!
合格者には賞状と初級が緑、中級は青、上級は赤の鬼太郎ピンバッジがもらえる。
三平は今年上級を狙っている。
「上級は境港でしか受けられません。上級は小論文もあるようなので勉強しないと。去年は『怪談最恐戦』に出場し、決勝戦まで行けましたし、中級合格もしたので、上級合格し、怪談&妖怪の達人として芸能活動をしていきたいです。でも、最近、水道も止められたので旅費のカンパお願いします」
上級合格前に、旅費と水道代捻出の方が難易度高そうだ!