「うる星やつら」「ルパン三世」「ドラえもん」許せる?許せない?人気アニメの声優交代を考える

沼田 浩一 沼田 浩一
アニメ「うる星やつら」キービジュアル (C)高橋留美子・小学館/アニメ「うる星やつら」製作委員会
アニメ「うる星やつら」キービジュアル (C)高橋留美子・小学館/アニメ「うる星やつら」製作委員会

 「ルパン三世」も長寿シリーズですが、声優を一新するという出来事が一度ありました。1987年制作の「風間一族の陰謀」では、ルパン、次元、五右衛門、不二子、銭形というテレビ第一シリーズからおなじみのレギュラーキャラの声優をすべて変更してしまいます。新たにルパン三世を演じたのは古川登志夫。このことを知らされていなかった山田康雄は激怒したと言われています。この声優の交代には批判が殺到し、次に制作されたテレビスペシャル「バイバイリバティー危機一発!」では元に戻されました。既に確立していた声のイメージをわざわざ一新して大失敗するという珍しい例ではないでしょうか。ルパン三世が山田康雄の声以外にハマることはなさそうで、山田が亡くなったあとに、モノマネをしていた栗田貫一が引き継いだというのがそれを物語っていますね。

 長寿アニメにおけるキャラと声についていくつか挙げましたが、そもそもキャラクターの声のイメージというのは何でしょうか?漫画を原作とするキャラクターは、アニメ化されるまでは、具体的な声がないので、読者は脳内再生して漫画を読みます。特に声を意識せずに台詞を読む時もあれば、好きな声優の声のイメージを当てはめることもあるでしょう。それが実際にアニメ化されると、ギャップが生じて「思っていたのと違う!」と感じ場合が多くなります。思い入れの強い漫画や、好きなキャラクターであればなおさら強く感じることでしょう。

 筆者は週刊少年ジャンプで連載されていた「ついでにとんちんかん」や「ハイスクール奇面組」のアニメ化決定の記事を見たときに、作品としての楽しみのほかに「どんな声が?」という期待も持ちました。抜作先生や奇面組のメンバーたちの声が想像できなかったからです。

 原作を読む際は声優のイメージを当てはめず、漠然とした脳内再生だったので声に具体性はありませんでした。そして、待望の初回放送を見たときの違和感を強烈に覚えています。「こんな声じゃない!」と。しかし、毎週見ているうちに徐々に馴染んできて(もちろん声優さんの技術力もあってのことですが)やがて「この声しかないよな~」と思うようになりました。同様に「クレヨンしんちゃん」や「ちびまる子ちゃん」も最初は「う~ん、こんな声なのかな…」と思ったものです。アニメから入った人は違和感がないでしょうが、原作を読んでいた筆者は、あまりにも子供らしくない声質になかなかの衝撃を受けました。それが今では、しんちゃんもまるちゃんもこの声じゃないとキャラが成立しない!というほどイメージが固定化されています。キャラクターと声優というのは慣れていくというか、徐々に馴染んでいく、またはイメージが一本化していくような気がします。

 世界観が確立された作品については、今後「ルパン三世」のように大胆に声質が変わることはないと思われます。ですが、声優の交代によるイメージ変更にはそれほど否定的ではありません。最初、強い違和感があってもいずれはそれが定着し、馴染んでいくものと思うからです。ルパン三世をそのまま古川登志夫が二代目として続けていたら、現在のルパンは「古川登志夫しかいない!」と思われるまでになっていたかも知れません。それまでに慣れていたいた声を聞けなくなるのはちょっと残念なことではありますが、キャラクターの新しい一面が開かれる可能性もあります。「ん?」と思っても、回を重ねるたびにキャラクターも声もお互いにすり寄って合致するのでは。冒険的な声優の交代劇を、再び見てみたい気もするのです。

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