サッカーのカタールワールドカップ(W杯)の1次リーグE組で、スペインは日本と同組になった。世界チャンピオンの経験もあるサッカー大国は日本をどう見ているのか。私がいるスペインからメディアでの報道などをみながら傾向を見ていく。
まず目立つのは、スペイン1部・マジョルカでプレーしている20歳のMF久保建英が扱われるケースの多さだ。組み合わせが決まった時点で「タケ・クボがW杯でのスペインの歩みに立ちはだかる」「日本と久保、準々決勝を狙う脅威」「スペインの道に立ちふさがるタケ・クボ」と、複数メディアで見出しに名前が扱われていた。他には「タケ・クボ、W杯とレアル・マドリードへの道/来シーズン、アンチェロッティの補強に」と、来季所属元のレアル・マドリードでのプレーの可能性についての話題と抱き合わせで伝えているものもある。
これはスペインでの知名度の高さによるものだろう。同国トップリーグでプレーし、スペイン人にとって日頃から目にする機会の多い選手で、さらに若くしてレアル・マドリードと契約しており、認知度や今後への注目度が高いからだ。現在のスペイン人サッカーファンの中で『日本=久保』、といった図式に近いものがあると言える。
しかし、これらの記事でこれまでの日本の戦い方やチームの特徴についての記述はなく、ひどいものの中には中国代表のFW武磊(ウー・レイ)を日本の戦力として伝えているものもある。
そのあたりスポーツメディアはアジア予選を観戦、またはデータチェックしているようで、スポーツ紙アスでは、アジア最終予選で活躍した伊東純也を危険視する記事を掲載。さらにベトナム戦で先発しながらも結果を出せなかった久保が代表では決して主力になっておらず、三笘薫の活躍により現在の位置も危うくなり得ることを伝えている。そのほか、名前が取り上げられている日本人選手は南野、続いて冨安、さらに遠藤航、吉田、柴崎、古橋となっている。
日本のチーム分析としては、スポーツ紙マルカ紙が「(序盤の)イレギュラーな戦いの後、森保監督のもと注目に値するラストスパートで予選突破を決めた」「日本はそのダイナミックさから、いつも見ていて楽しい」としている。もっとも、これは非常に好意的な表現で、限りなく社交辞令的なものではないか。ラジオ局カデナ・セールは「日本代表には若手選手が多く将来性がある。しかし主要な長所は半面で弱点の一つでもあり、2エリアでの支配で好転の余地がある」としている。
最後にクラブ、代表にかかわらず、世界各国の試合を解説・分析しているスペイン人サッカーアナリスト、マルディーニことフリオ・マルドナード氏は自身のメディアで「日本は以前より随分と守りが良くなっているが、それはアジアレベルでのこと」とし、コスタリカが同組4番目のチームになることを念頭に置いた上で「普通に行けば日本は4位になるだろう」とみている。