ワクチン接種 ゴリラやチンパンジーにも 世界の動物園のコロナ事情

篠原 かをり 篠原 かをり
写真はイメージです(bimserd/stock.adobe.com)
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 オミクロン株の感染拡大の中で、3回目のワクチン接種の遅れが指摘されている。しかし、新型コロナウイルスの脅威は人類だけの問題ではない。動物への感染も知られており、世界中の動物園で、動物用のワクチン接種が行われている。TBS「世界ふしぎ発見!」でミステリーハンターとして活躍し、生き物に関する著述も多い動物作家の篠原かをりが、動物のワクチン事情を紹介する。

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 今まで打ったワクチンの数を覚えているか?今まで食べてきたパンの数ほどではなくても、覚えていない人が多いのではないだろうか。何しろ、日本に住む赤ちゃんは1歳になるまでに15回以上のワクチン接種を受けることになっている。

 執筆者も覚えていない。様々な地域を旅してきたので、狂犬病に黄熱病に破傷風と色々なワクチンを接種してきたから日本に住む人々の中では多い方だと思う。しかし、今まで既に発明されたワクチンの恩恵を受けて生きてきたので、コロナ禍において未知のウイルスに立ち向かうためのワクチンがリアルタイムで作られていく様子を見ることができたのは、とても興味深い経験だった。

 ファイザー、武田/モデルナ、アストラゼネカとあるけれど、執筆者は大学の職域摂取で武田/モデルナ社製のワクチンを受けた。

 ちなみにこれを読んでいる中でゾエティス社製のワクチンを打った人はいるだろうか?

 恐らく、いないだろう。

 これは動物用の新型コロナワクチンである。アメリカの動物園ゴリラ18頭の集団感染や香港のペットショップのハムスター11匹の集団感染など、新型コロナウイルスが人以外の動物にも感染するという報告は数多く存在する。動物用ワクチンは元々、ペットの犬猫に向けて開発されたものであるが、犬猫は幸いなことに今のところ、感染・発症のリスクが低い動物であると考えられており、世界の動物園にいるゴリラ、チンパンジー、トラなど絶滅が危惧される種を中心に優先的に接種が行われている。

 動物たちの健康ももちろん大切だが、動物への感染を予防することで私たち自身の健康も守られる。動物を介した変異は、私たちにとっても大きな脅威となる。

 しかしながら、幅広い種の動物が同じ「動物」というくくりで動物用ワクチンの対象になっていることは不思議な感じがする。ゴリラやチンパンジー、オランウータンといった大型類人猿はフェレットやライオンより人間に近いのではないだろうか。私は自分自身がフェレットとゴリラの間におさまる動物であるような気がしてならない。

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