新型コロナワクチン接種に反対する人たちの声が高まりを見せている。中には、やむを得ない事情や個人の選択肢として接種しない人もいるが、接種を義務的にとらえる側から差別的な対応をされたということもあるという。女優でジャーナリストの深月ユリア氏が国内で起きている事象のうち山梨県のケースをリポートする。
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オミクロン株が猛威をふるい、国内の感染者数が過去最多を記録更新する中、山梨県の独自の新型コロナワクチン推進策が波紋をよんでいる。
山梨県の長崎幸太郎知事は、1月23日の臨時特別協力要請により「新型コロナワクチン未接種者の不要不急の外出自粛」「企業は新型コロナワクチン未接種の従業員に対し、ワクチンの必要性をしっかりと説明し、出来る限り接種を受けるよう勧奨する」「(大学などが)新型コロナワクチン未接種の学生に対し、接種の必要性を説明し出来る限り接種を受けるよう強く勧奨」などを定め、これが「非接種者の差別ではないか」と批判が殺到している。
我が国の厚生労働省の方針は 原則的に自由接種である。 新型コロナワクチンは重症化を防ぐというメリットがあるが、 mRNA(メッセージRNA)はまだ新しい技術であり、アナフィラキシーなど従来のインフルエンザワクチン(不活化ワクチン)に比べて副作用の可能性もある。
長崎知事も同25日の記者会見で「未接種者の『接種しない』という選択そのものを否定しているものではない」「非接種者の差別の意図はなく、誤解である」と説明しているが、実際に山梨県では「新型コロナワクチン未接種者が差別されている」という事例が幾つも報告されている。
山梨県在住の「非接種者の差別を防ごう」という意図で署名集めなどをして活動しているA子氏によると、「様々な方々から『差別された』『パワハラを受けた』『心理的に追いつめられた』という報告を受けます。例えば、とある製造業の会社では職場において未接種者だけが会社の経費ではなく、自腹で有料PCR検査を義務付けられ、提出しない場合は有給で休ませるそうです。他にも、ある工場では、未接種者のみプライベートな行動履歴を誰でも見られる掲示板にさらされるそうです。未接種者が業務内容を窓口から人に会わずに済む内容に変えられ、上司から『接種しないとクビにする』と脅迫まがいのことも言われたケースも聞きます。他にも、就活でほぼ内定が決まっていた企業が、未接種を理由に外された例もあります。未接種者に対しての、近寄るな、触るな、しゃべるな、などの暴言も聞きますね。非接種者の差別を辞めて欲しいですし、臨時特別協力要請は誤解を生むので変更して欲しいですね」という。
厚生労働省のHPには「職場や周りの方などに接種を強制したり、接種を受けていない人に差別的な扱いをすることのないよう、皆さまにお願いしています」との記載がある。そして、厚生労働省は職場における虐め・嫌がらせなどに関する窓口と人権相談に関する窓口も設けている。
なお、新型コロナワクチン絡みの陰謀論を信じている一部の企業では、逆に「接種者の差別」が行われるケースもあるようだ。「新型コロナワクチンを接種する・しない」で、日本国民が分断するような事態はくれぐれも避けたいものだ。