大芸大の落語研究会「落語研究寄席の会」からなぜお笑い芸人が続出 現役部員が語る意外な理由

杉田 康人 杉田 康人
よしもと祇園花月の舞台を踏んだ「落語芸術寄席の会」の大沼佑莉那さん(左)、堀井椋平さん
よしもと祇園花月の舞台を踏んだ「落語芸術寄席の会」の大沼佑莉那さん(左)、堀井椋平さん

 大阪芸術大学の落語研究会「落語研究寄席の会」出身の芸人が、お笑い界を席巻している。2019年のM―1王者ミルクボーイの内海崇(36)、駒場孝(36)をはじめ、2021年のキングオブコント(KOC)王者空気階段の鈴木もぐら(34)、同年の女芸人No.1決定戦THE Wを優勝したオダウエダの植田紫帆(30)、KOC2016ファイナリストななまがりの森下直人(35)、初瀬悠太(35)と、そうそうたるメンバーが名を連ねる。

 東京・ルミネtheよしもとで前出の出身芸人が総出演する公演「僕らの原点〝大阪芸大落語研究寄席の会〟」(2月22日)が開かれるなど、注目を集めるお笑いサークル。現役の部員に、大阪芸大の落語研究会から賞レース優勝者を輩出する理由を聞いた。

 落語研究寄席の会のメンバーで、芸術学部3年生の堀井椋平さん(21)と同学部2年生の大沼佑莉那さん(20)は、2021年12月11日によしもと祇園花月で行われた「大学生お笑い祭り!」にお笑いユニット・言い得て妙として出演。先輩のミルクボーイと舞台で共演を果たしている。

 コロナ禍で活動は制限されているものの、落語研究寄席の会出身者がM―1、KOC、THE Wの3冠を達成する快挙に入部希望者や取材が殺到。堀井さんによると「OB、OGがテレビに出たりしたらうれしいですし、刺激にもなる。ミルクボーイがいたから、落研に行ってみようと入部してくれた子も多い」。現在は40人ほどの大所帯になっているという。

 落語研究寄席の会は、落語研究会ながら漫才やコントなどの色物が中心。大阪府南河内郡の広大なキャンパスにある立地からか、他大学との交流も少なく独自の発展を遂げてきたという。堀井さんは「そもそも、大阪芸大は変わった人が入ってくる。その中でも、特に変わった人が落研に入ってくる。芸を目指す人も多い」と、異能の人材が集まる大学とした。

 大沼さんも「いろんな大学の中から、わざわざ大阪芸大を選んでいる。みんな野心家というか、一発かましてやるぞという人ばかり。みんな破壊したい衝動でもあるのかな…。大学を見渡しても、将来サラリーマンになるという人は3人くらいしかいない」と、上昇志向の学生が多いという。

 キャンパス内でのお笑いライブや、落語芸術寄席の会内でネタを披露しダメ出しをする機会もあり「ネタ披露も、なるべく意見を言うようにしている。毎日誰かとお笑いの話をしている」(堀井さん)と日々ネタを磨き合う。NSC(吉本総合芸能学院)に進む部員も多く、部員から新たなお笑いスターが誕生する土壌があるという。

 就職活動シーズンを控えながら、お笑いライブなどに出演する堀井さんは「何かで有名になりたい。名前が世に出ればと思っている」と視線を前に向ける。小劇場で舞台に立つ大沼さんも「大成したい。ミルクボーイさんはかっこいいですし、続けたらと思う」と意気込む。

 全国の芸術大学の中でも、めずらしい落語研究会。先輩の活躍が刺激になり、ユニークすぎる人材が日々世に出るチャンスをうかがっている。

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