「尊い」「沼にハマった」など、オタク独特の言い回しを英語でも表現したい!言語の壁を越えた推し活に役立つ英語表現集「世界が広がる 推し活英語」(学研プラス)が3月10日に発売される。
同書には「推し」「(グッズを飾る)祭壇」など330単語と「実質無料」「キュンです」など477のフレーズが収録される。文字数が限られたSNS投稿や、推しに話しかけることができる数秒間のトークイベントも想定し「短い言葉で、ユニークな言い方ができる」英語表現を主に扱う。
アニメやアイドルなどのコンテンツが世界各地で共有され、ファンが英語で”推し活”をする機会が増えている。同書の編集担当・株式会社学研プラスの澤田未来氏は自身も漫画・アニメのオタク。外国人の友人とのやりとりで「好きなものを語る時に『I love ~』とか『I see!』とか、ありきたりな会話しかできなかった」といい、熱量を伝えるための語彙が足りず歯がゆく感じた経験が制作のきっかけになった。
実際にオタクの間で使われている”生きた言葉”を調査するため、日本語話者のオタク100人以上に「どんな言葉を英語で言ってみたいか」とアンケートを実施。回答者の中には、スポーツファンや、ピクサー映画の監督に英語でファンレターを書いたディズニーファン、海外の”オタ友”と英語を使ってイベントレポートを共有する「ハロー!プロジェクト」のファンなどもいたといい、さまざまな場面で使用される表現を集めた。
その後、日本語に対応する英語表現を「英語圏のオタク」のツイッター投稿から探し出した。さらに、オタク文化に詳しいネイティブチェッカーに依頼し、実際にSNSや日常会話で使われている”生きたオタク英語”にこだわった。
日本のオタク言葉に当てはまる英語表現を探す際には、第一に「『尊い』『語彙力が死んだ』などと思う概念そのものが、英語圏のオタクにあるのかを検証した」。その結果、推しの魅力に言葉を失う様子を意味する「語彙力が死んだ…」は「My vocab is gone…」、推しにまつわる場所を旅する「聖地巡礼」は「pilgrimage」(本来は宗教的な「巡礼」の意)など、日英のオタクに共通する概念があることが分かったという。他にも、歌のうまさを表現する「口からCD音源だった」やスタイルの良さを伝える「足が長すぎて5mあった」など日本語のオタクが使う言い回しは、英語圏でも同様の表現が使われていた。
澤田氏は「推しの魅力を前にすると言葉を失ってしまう様子や、でも布教する時には饒舌(じょうぜつ)になる姿など、概念や文化、推しに対する愛情は国境を越えるんだなと」と実感。学習参考書大手の学研に中途入社した澤田氏は、面接の時から企画をアピールしていたという。約2年前から構想していた肝いりの書籍の出版に「好きなものについて話す場面の助けになればいいなと思います」と語った。
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