ギャル電「とりま光らせてみよ!」初心者への古参マウンティングは「ノーサンキュー」

 電子工作ユニット「ギャル電」が「ギャル電とつくる!バイブステンアゲサイバーパンク光り物電子工作」(オーム社)を9月15日に発売し、「とりま光らせてみよ!」と、難しく構えずに手を動かすことの楽しさを伝えている。ギャル電のまおときょうこはかつての苦労や、初心者を興ざめさせる”古参”について語った。

 初心者でも取り組みやすいよう、作品例や道具の選び方などを分かりやすく紹介する電子工作の参考書。「作ってテンアゲになる」工作スタイルが一般的ではなかったユニット結成前、2人が初心者の頃、製作の情報収集に苦労した経験が活かされている。

 元ポールダンサーのきょうこは「衣装を光らせたくて自分で始めたので、本当に情報がなかった。正解にたどり着くまではすごく長くて、2~3年は何をやっていいか分からなかった。何を買えば派手に光るのかとか全然分からなくて」と振り返る。工作者の集まりやウェブサイトから手探りで技術を身につけた。その後、まおと出会いユニットを結成した。

 工学修士のまおは「最初は、仕組みとか構造とかは全然理解しなくていい」と話した。電気電子工学を専門的に学んだまおですら、プログラミングなどを完全に理解することは容易ではないと例え「理解してから作るんじゃなくて、作ってから理解する方が早い。私はそっちの方がやりやすかった」と、既存の作品例を組み合わせることを勧めた。

 ギャル電を結成した2016年当時は電子工作界に女性が少ないことや派手な見た目で周囲から疎まれることもあった。だからこそ、初心者へ過度に注意喚起する”古参”の振る舞いを懸念している。

 「そんな適当にやったのでは全然ダメ」「理屈に合っていなくて正しくない」と初心者のモチベーションに水を差す人がいると指摘するきょうこ。「むやみにビビらせるアドバイスは、善意からだとしてもうちらはノーサンキューと思っていて。だったら、危なくない失敗の方法を教えた方が前向きじゃん」。”オールドスクール”の電子工作者の間では「知識のマウンティングみたいなのがある」といい、初心者の気持ちに対し想像力を働かせるよう配慮を求めた。

 

 ギャル電の活動は、9月で6年目を迎えた。きょうこは「そこのマックでマイコンボードのプログラム書き換えてく?」や「今日はアイシャドウの色に合わせて青く光りたい」などの会話が飛び交う未来を想像し、電子工作の「一般化」を目指す。まおは「自分がかっこいいと思うものと組み合わせて、テンアゲな自分の作例やアガる経験をみんなでシェアしていくようになったら面白いかなと」と、もの作り文化全体の盛り上がりを期待した。

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