「ちょい盛れ」で美しい仕上がりの写真が撮れる「韓国式証明写真」の人気が日本で高まっている。東京・新大久保や大阪・北堀江など全国3店舗で同サービスを提供する「MJ PHOTO STUDIO」オーナー・泉隆道氏は「30~50代の男性も多く来られます」と人気ぶりを明かした。
「韓国式証明写真」とは、独自の照明機材や修正技術を用いて写真写りの悩みを解消できる、人気の撮影サービス。従来の日本にある証明写真店との主な違いは(1)ライティング、(2)背景色、(3)レタッチの3点にある。
照明機材は本場・韓国から輸入したものを使用する。ライトと反射板の配置や出力の設定値などは韓国の写真館の仕様を再現しているといい、泉氏は「韓国のオリジナルの技術を(日本へ)持ってきているという感じです」と説明した。
背景に43色の選択肢があることも特長の1つ。従来の証明写真では青や灰色、白などの背景が一般的だが、同店ではパステルカラーや「韓国っぽいくすんだ色」などから、髪色や洋服の色に合わせて選ぶことができる。
客はカウンセリングシートに写真の雰囲気や肌の質感、特に修正を希望する部位や全体的な補正の度合い(4段階)などを書き込み、要望をもとにレタッチと呼ばれる、写真の加工作業が行われる。「一から十までお客さまの要望をお伺いして理想のお写真に仕上げる」というこの工程では、シートを注意深く参照し数ミリ単位の調整を行う。
韓国では、日本のマイナンバーカードにあたる、顔写真付きの「住民登録カード」が普及しており「『証明写真をきれいに撮りたい』というのは文化になっています」というほど、証明写真は身近な存在。日本から”韓国式”の証明写真を撮るために渡韓していた人たちが、コロナ禍で渡航できず、日本国内で同様の撮影ができる写真館を探していることも人気の理由だと話した。
「きれいにお撮りして、本来のポテンシャルを最大限に引き出すようなレタッチの”ちょい盛れ写真”を求めて来られる方、今までの証明写真だとちょっと嫌だなという気持ちを持っている方に反響をいただいています」。来店するのは20~30代の女性客が中心で、公的書類よりもSNSのプロフィル画像や就職活動の履歴書、社員証などに使用する人が多いという。
一方で、「30~50代の男性」も多く来店すると泉氏は明かした。特に、会社経営者などが、会社のWebサイトに掲載するプロフィル写真を求めて来ることが多いという。「顔をぎゅっと(小顔に)してほしいというより、シワを消して5歳くらい若返りたいとか。自然な感じで若返ったお写真を撮りたいという注文が多いです」。
日本には「証明写真=盛れない」というイメージがあると泉氏は分析する。「日本の証明写真は盛れない写真が撮れる、あまり撮りたくない(という印象がある)。免許センターに行ってパシャっと撮られて免許証に貼られて、それを嫌々持っているとか。それが日本の文化なんですけど、それを変えていくきっかけになるようなコンテンツかなと思います」と「韓国式証明写真」への期待を語った。