コロナ禍に打ち勝つ映画「クワイエット・プレイスー」で見えた“共感” 大阪なおみのことが頭に

伊藤 さとり 伊藤 さとり
「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」のワンシーン
「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」のワンシーン

 ◆“共感”が多くの人に希望をもたらす

 そして改めて気づかされたヒットの理由のもう一つが、“共感”というストーリーラインでした。映画やドラマがヒットする要因には、登場人物に“共感”することも影響を及ぼすと言われていますが、『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』は、自分たちが投影しやすい家族が主人公であり、それぞれの感情や行動が自分ごとのように見えてくるのです。それは前作に続き、監督、脚本、制作のジョン・クラシンスキーが家庭を持っていることと、妻が主演女優のエミリー・ブラント本人であることが最大の力となって、父親ならばどう乗り越えようとするのか、母親ならばどう対応しようとするのか、子供は“やってはいけないと言われるとやってしまう生き物”ということも理解した上で、脚本を組み立ててリアルな演技で鬼気迫る状況を作り出しているのです。

 子供は親の背中を見て育つ、を体現した映画であり、だからこそ大人は子供に誇れる行動をとることが大事、と伝えてくるサバイバル術。コロナ禍の今、学ぶことが多く、困難を乗り越える希望の物語でした。

 更にもう一つ、映画から素晴らしいメッセージをもらいました。「勇敢な人間こそ守り救うべき存在」という考え。弱き者を救うのは勇敢な人であり、道を切り開いていくのも勇敢な人、だからこそ彼ら彼女らを援護する(守る)必要がある。そんな思いを巡らせていたら、ふと、大坂なおみ選手のことが頭に浮かんだのでした。守るべき存在、そう思いませんか?

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