かつては「見ても分からないが、聞けば一発でわかる」という職業だったのが、声優やナレーターといった「声のお仕事」。近年はアニメ人気の高騰などから、声優がバラエティー番組やドラマ、映画にも進出し、顔だけでも十分に認知されている存在も多い。
そんな中、TBS系「情熱大陸」や、任天堂のCMなどでナレーションを務める窪田等氏(69)が、デイリースポーツの取材に対応。日本一のナレーターと称される職人が、「声のお仕事」の神髄を語った。
ナレーター歴48年を迎える窪田氏は、「特にアニメの人たちは、昔よりもっと活躍の場が広がっている。顔を出している方も多くいますよね。僕の場合も、一般の方が『窪田等』という存在を認識して下さっている。今まで業界の人しか知らなかった名前を一般の人たちが知って下さる」と、過去との違いに言及。「僕らは地味な仕事だから、一般の方々は知らないだろうと思っていたんですけど」と話した。
その要因を「やっぱりアニメで、今まではコアなファンの方が中心だったのが、アニメ自体がマーケットが大きくなって、コアなファン以外の方が増えてきた。すると声に対して、この声優さんがどんな人かと興味が広がって、声優さんも世間に出ていくから、それで認知度が上がる。その相乗効果じゃないですかね」と分析。窪田氏も昨年、人気アニメ「おそ松さん」第3期の予告特番に出演。「反響はすごくて、『窪田さんをナレーションに使ってる。高い人使ってるんだ』って、ありがたいことに思っていただけたようで」と笑った。
長年活動してきた中で、「僕らと、今の主流の若い人たちとは、価値観が違うんです。だから『こうでなきゃいけないよ』という押しつけはできないし、合わせていかなければいけない」という窪田氏。その上で「根底では、自分のやり方は貫いていかなければいけない」と言い切った。