トランプ氏「大きな詐欺」教育省の解体に意欲 背景に学生ローン免除や多様性プログラムの問題

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 トランプ米大統領は3月下旬、教育省を事実上解体することを目的とした大統領令に署名した。学校政策はほぼ完全に州や地方の教育委員会に委ねられることになる。大統領令は、教育省を学生ローンや「ペル・グラント」(返済不要の奨学金)の管理など基本的な機能に縮小することを目指している。完全な廃止には議会の承認が必要になる。 

 トランプ氏は教育省が「大きな詐欺」だとし、廃止を繰り返し主張している。「非常に簡単に言えば、教育を州の管理下に戻すつもりだ」とも話してる。特に学生ローン免除や、多様性・公平性・包摂性(DEI)プログラムに関する政策を巡り、共和党は教育省を批判してきた。

 「批判的な人種理論と、トランスジェンダーの狂気を学校から徹底的に排除する」との主張もしている。保守派の中には、カリキュラムがあまりにリベラルすぎる、米国の人種差別の歴史に過度に重点を置きすぎている、との声もある。大統領令は今後、資金を受けるいかなるプログラムについても「DEIやジェンダー・イデオロギーを推進すべきでない」としている。

 これまで教育省は、米国内にある約10万の公立校、3万4000の私立校を管理してきた。公立校への資金の大半は、州政府や地方自治体が拠出しているものの、即時閉鎖されれば、幼稚園~高校まで教育機関への数百億ドルの支援や、低所得世帯の大学生向けの授業料補助が中断される恐れがある。

 教育省は特別な支援を要する教師や子どもへの手当や、芸術教育への資金のほか、古くなった教育インフラ更新などに資金提供を行っている。米国内にある公立・私立学校のカリキュラムの質を評価し、全ての子どもが教育を受けられるよう指針に沿っているか確認する役目もある。

 議会は昨年、教育省に790億ドル(約11兆7710億円)の予算を割り当てている。ホームレスの子どもたちへの教育や芸術教育、国立視覚・聴覚障害者センターの支援プログラムなども対象だ。

 教育省の支持者らは、公教育の水準を維持するために不可欠だと主張。一方、共和党は営利目的の教育を推進していると批判している。教育省が1300人以上の職員を解雇する計画を発表したことを受けて、20の州とワシントンDCの司法長官が、同省の機能に支障をきたすとして提訴しており、公民権団体からは、トランプ氏の行動が「違憲」だと非難する声が上がっている。

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