溝端淳平「吹き替えは職人技」普段の芝居との違いを痛感 11年声を務めるサムに愛着

中江 寿 中江 寿
溝端淳平(撮影・石井剣太郎)
溝端淳平(撮影・石井剣太郎)

 俳優の溝端淳平がこのほど、大阪市内でよろず~ニュースの取材に応じた。公開中の米映画「キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド」では、サム・ウィルソン/キャプテン・アメリカの日本版声優を務める。役に対する思い、吹き替えの難しさについて語った。

 2014年の「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」からサムの声を担当。7作目となる今回は継承された新キャプテン・アメリカ役となる。「これまではキャプテンの相棒的な立ち位置で、ちょっとクスッと和ませたり、支える立場だったりしたんですけど、今回はもう本当に自分が先頭に立つという…。全然、違いますね」。サポートからメインの立場に変わり、役作りにも変化が生まれた。

 キャプテンとなったサム役のアンソニー・マッキーとは昨年11月に話をした。「彼自身もすごく体を大きくして、役作りにも今までのサムとは全然違うようなアプローチをされていたので、僕自身も今までの声の当て方とは別だと思って臨みましたね」。発する言葉の重み、シリアスな場面での緊張感など、意識的に心がけた。

 サム役には親近感のようなものが湧いている。「11年やって、愛着はすごくありますね。サムがこうやって成長して、キャプテンの盾を持って、主役として劇場に帰ってくるのは、すごく感慨深いし、うれしいし」。MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の大ファンでもあるだけに、喜びもひとしお。ただ、納得がいかず、自分から何回か録り直しを申し出たこともあった。「わがままを言って、吹き替えのスタッフの皆さんに付き合っていだいたこともあり、思い入れがある作品になりましたね」。それだけ心血を注いだ。

 普段の俳優業と吹き替えは全然違うという。「お芝居は自分の役に入って、その場にいる気持ちに入り込んで作っていくんですけど、今回はスイッチが入っちゃうと、吹き替え版だとリップが合わないし、声もブレちゃうというか…」。集中すればするほど芝居の感覚になるが、吹き替えではいい方向にはならない。

 改めて難しさを痛感した。「感情を出さなきゃいけないけど、冷静に俯瞰で作品を見ている自分がいなきゃいけないという。普段は絵を見ながら自分のお芝居をすることはないので。客観性を持ちながら、役に入り込むことは、絶対にないんですよ。役があって、動きがあって、自分の気持ちがあって、言葉になるんですけど、(吹き替えでは)俯瞰に動いているものがあって、そこに感情を乗せる作業。職人技だなと思いました」。長くやっていてもなかなか慣れない。「秒数か、絵なのか、セリフなのか…。どっちを見ていいか分かんないですよ」。勝手が全く違うようだ。

 撮り終えた時には心地よい疲労感と達成感があった。「今回は、本当に覚悟した上で臨んだので疲れましたけど、いい疲れでしたね。とことんやれたというか、何回も録り直しができたので。もちろん、見返して自分の中では、もっとできたのにとかは、あるかもしれないけど…。ずっと収録に付き合ってくださったスタッフさんと録り終えたときは、すごくうれしかったですね」。充実した表情で振り返っていた。

 今回の映画には平岳大が日本の首相役で出演。自身もハリウッド映画に出たいという気持ちはあるが、目標ではない。「全然知識不足だし、英語力も全然伴っていないので。行きたいと思っていたら、すでに英語の勉強をしているでしょうね。いいものを皆さんに見てもらいたいという意味では、別にハリウッドだけじゃないので。日本でもいい作品はいっぱいあるし、いい監督さんやいい役者さんはいっぱいいらっしゃるので、まだそこに特化して自分がやりたいという思いはないですね」。国内外にこだわらず、チームでいい作品をつくりあげることがベストだと思っている。

 ◆溝端淳平(みぞはた・じゅんぺい)1989年6月14日生まれ、和歌山県出身。2006年度JUNONスーパーボーイ・コンテストグランプリ。2007年4月ドラマ「生徒諸君!」で俳優デビュー。映画、舞台、テレビ、CMなど幅広く活躍中。

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