タカラジェンヌを育成する宝塚音楽学校の「第111期生文化祭」が21日、兵庫・宝塚バウホールで開幕した。
通常の「文化祭」のイメージは、クラスや有志で出し物をしたり、イベントを開催するもの。だが宝塚音楽学校は「学校」ではあるが、舞台に立つための「修練の場」。全員がタカラジェンヌの卵で、一つの目標に向かい、舞台に立つために歌や芝居、ダンス、日本舞踊などをみっちりと学んできており、この文化祭も卒業公演を兼ねた、2年間の集大成となっている。
約500席のバウホールで3日間6公演で、すでに全日程完売。宝塚ファンにとっては、初舞台より早くにお気に入りを見ることのできる貴重な場でもあり、例年超プラチナチケットとなっている。1部は日本舞踊と歌(クラシックと宝塚メドレーのポピュラー)、2部が芝居(A、Bの2組に分けて出演)、3部がダンスという構成で、約2時間半上演。111期は歌の上手い生徒が多く、A組の芝居で主演した三枝友梨乃さんは華やかな容姿で舞台映え抜群。首席の光田悠那さんはダンスレベルが高く、早くも会場を魅了した
テレビで特集されるなど、一般でよく知られている宝塚音楽学校の厳しいルールの殆どは不文律のものが多く、先輩から後輩に受け継がれてきた。だが近年は様々な改革を行っており、従前のイメージとは変わりつつある。
例えば掃除は現在は予科が行うが、以前は本科と予科が1対1の“分担”と呼ばれる方式で、マンツーマンで上級生が下級生を指導していた。これは現在ではグループ方式になった。髪型も娘役の場合きっちりと先まで編み上げた三つ編みをピンと反らした“エビ天”と呼ばれるものだったが、現在はギチギチに編んではいない。
宝塚音楽学校は中学卒業15歳から高校卒業18歳までの女性に受験資格が与えられ、合格者は2年間、宝塚歌劇団に必要なものをみっちりと学ぶ。もちろん歌やダンス、芝居といった直接舞台に関係するものだけではない。在学中にはそれほど意味ある動作や行動に思えなくても、卒業後に80人前後でひとつの舞台を作る上で、その行動がつながってくることも多い。
それら不文律のルールは、関係者によると「生徒が毎年話し合い、何を残して、何を廃止するかを決めている」という。その中には「一旦やめたけど、何年かして『やはり必要、やりたい』と復活するものもある。オブザーバーで教師が見守るが、生徒の自主性を尊重しつつ、常に変化している」と説明する。
また3月に行われる試験の募集要項からは「容姿端麗」が消え、「心身ともに健康で、卒業後宝塚歌劇団生として舞台人に適する方」という文言になった。今年創立112年を迎える宝塚音楽学校は変化している。
111期生は23日までの「文化祭」の後、3月1日に卒業式を迎え、宝塚歌劇団に入団。宝塚大劇場星組公演「阿修羅城の瞳/エスペラント!」(4月19日~6月1日)で初舞台を踏み、恒例の口上とラインダンスを披露する。