昨年11月、世界的怪獣「ゴジラ」を壁面に描くダムアートが完成した岩屋川内ダム(佐賀県嬉野市内)は、完成から約2カ月で来訪者数が2万人を突破したことが明らかになった。年間来訪者数が300人ほどだったダムに到来した“ゴジラ効果”に、同県の情報発信プロジェクト「サガプライズ!」担当者は「佐賀県への観光誘客に大きく貢献していただきました」と手応えを実感している。
サッカーグラウンドに匹敵する大きさの壁面に描かれた国内初(東宝調べ)となるゴジラのダムアート。ドイツの清掃機器メーカー最大手「ケルヒャー」の特別チームが高圧洗浄機で壁面の汚れを除去し、汚れがある・ない部分のコントラストを生かして描いている。
特別チームリーダーのニック・へイデン氏が「とても難しかった」と振り返るほど、過去に同チームが手がけたダムアート以上の緻密さで描画。壮大な取り組みがメディアやSNSなどで取り上げられ話題に。連日多くの観光客が訪れた。同県の「サガプライズ!」担当者によれば「11月15日~1月26日で、2万3286名の方にお越しいただいております」と約2カ月で2万人超が来訪したという。
汚れを活用した作品のため、アートを見ることができる“タイムリミット”があるのも来訪者が増えた理由のひとつ。完成当初の見立てでは、2~3カ月はコントラストがはっきり見えるとされた。完成から2カ月半が経過した現状を、同担当者は「高圧洗浄機で洗浄し白くなった部分もだいぶ汚れてきておりますが、まだゴジラもしっかり認識できます」とした。
佐賀県は昨年10月、ゴジラを「佐賀県かたち観光大使」に任命した。任命の理由はゴジラを右に90度回転さると、佐賀県とほぼ同じ”かたち”になるという縁から。ダムアートのほか数多くのプロジェクトを展開し、その一つとして県庁新館最上階の展望ホール(SAGA360)に、窓の外から建物の中をのぞくゴジラの巨大ビジュアルを設置。こちらも約3カ月の設置期間中に2万6759人が来訪した。
1月26日をもって、ゴジラは「佐賀県かたち観光大使」としての任期を満了。同担当者は「特に佐賀県庁展望ホールと岩屋川内ダムにはそれぞれ2万人を超える方にお越しいただき、佐賀県への観光誘客に大きく貢献していただきました」と感謝。「任期は満了となりますが、佐賀県民の方はもちろん、全国、全世界の方々に『佐賀県はゴジラとほぼ同じ“かたち”である』ことが記憶に残り続けることを願っています」とコメントを寄せた。