まるでゲーム「ダライアス」のような写真がSNS上で大きな注目を集めている。
「海の生き物に特撮用のジオラマをレイアウトに使うという発想がかなり面白い。」と件の写真たちを投稿したのは生き物の写真を撮影しているうみうまさん(@umiuma_san)。
廃墟の特撮ジオラマを背景にした、カラフルな海の生き物たちの写真。これらは福岡県のマリンワールド海の中道の特別展「いきもの vs 怪獣 すがた・かたちのインスピレーション昭和篇」で撮影されたそうだ。
まるで水棲生物をモチーフにしたキャラクターデザインで話題になった往年の名作ゲーム「ダライアス」のようなうみうまさんの作品に、SNSユーザー達からは
「その発想はなかったな~まんま怪獣じゃん😆ま、そう言われれば怪獣って既存の生物が
モチーフだから当然と言えなくはないのだけど。とはいえ、怪獣感スゴイ(笑)」
「幻想的ですごい美しいなぁ‥‥‥ハイセンスや‥‥‥もっと見たい‥‥‥‥」
「めちゃくちゃダライアス感でてる!」など賞賛の声が集まっている。うみうまさんに話を聞いた。
ーー写真はまさに特撮の世界観でした。
うみうま:崩壊したビルから顔を覗かせるシャコや高層マンションに並ぶクロウミウマ(タツノオトシゴ)など、もしも海の生き物が怪獣になったとしたらどんな行動をとるだろうというアイデアを構想しながら撮影を行いました。
ーー展示はどのようなものだったのでしょうか?
うみうま:特別展では怪獣に近い生き物のほか、水族館に勤務する特撮好きのスタッフさんの怪獣フィギュアのコレクションが展示されていました。怪獣とそのモチーフとなる生き物を知ることができるとても面白い展示でした。
ーーこれまでの反応や反響についてご感想を。
うみうま:一番多い反応はモンハナシャコの写真が「ダライアス」というゲームに登場するボスのワンシーンに似ているというものでした。もう一度遊びたくなったという声も見受けられ懐かしい気持ちを思い出せる一枚を投稿することができてとても嬉しく思います。また、文明が崩壊した世界線のようだという面白い視点もあり、今後の作品作りの参考にできそうです。
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今回の特別展の立案、企画、構成、解説等を担当したマリンワールド海の中道の学芸員の大西拓さんにもお話を聞いた。
ーーこの展示を企画されるまでの経緯は?
大西:私は「怪しい隣人」という名前でウルトラ怪獣ソフビを紹介するブログをしているくらいウルトラ怪獣好き。いつかコレクションを用いて、水族館でしかできないウルトラ怪獣の魅力と生き物の魅力を紹介する企画展ができないか考えていました。
はじめ会社は「なんでお前のコレクション展をしなくちゃいけない?」という反応でしたが、理解ある上司に「生き物のかたちと怪獣のかたちを比較して見てもらい、生き物の新たな気づき、魅力を知ってもらいたい」と話したところ、「面白い、やれやれ!」と言ってもらい、実現にこじつけました。
ーー怪獣と海の生き物には意外と関係があるのですね。
大西:魅力あふれる怪獣たちは、生物や無生物からヒントを得ながら、独創的な形の創造を目指してデザインされているようです。今回は水族館ならではの企画として、怪獣のおもちゃ「ソフビ」とモチーフとなった水棲生物を並べて展示しました。「なぜ生物はこんなデザインをしているのか?」、「この形の機能・働きは何なのか?」など、皆さんの創造力を高め、今までとは違った視点で生物を見ていただくことができます。
ーー展示の反響は?
大西:毎日のように企画展に関し呟いてくれる方がおり、嬉しく思っています。またXやインスタ、当館HPを見て、全国からこの企画展に来られる方がおり、これまで水族館に来ていなかった層にもその魅力が伝わったのではと感じています。加えてXに「地球には様々な生き物が存在し、かれらの存在があってこそ個性豊かな怪獣が創造されるのだと思った」とのコメントもあり、生き物の魅力、怪獣の魅力を同時に感じていただけていると思いました。見ている方々にお声がけした際には、展示する怪獣ソフビは全て私個人の私物ですと言うと大変ビックリされます。
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今回紹介した特別展「いきもの vs 怪獣 すがた・かたちのインスピレーション昭和篇」は6月2日まで開催。常設展も九州の海をふんだんに詰め込んだ内容で他の水族館ではなかなか見ることのできないラッコやコビレゴンドウ、スナメリ、九州にのみ生息するアリアケギバチやセボシタビラ、ヤマノカミなど魅力的な生き物がたくさん。気になった方はぜひマリンワールド海の中道に足を運んでいただきたい。
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