朝から棍棒が飛びまくる謎の全国大会 何をする?→棍棒を打ち飛ばす!それだけ「棍棒飛ばし」奈良県宇陀市

藤丸 紘生 藤丸 紘生
棍棒を棍棒で打ち飛ばすスポーツこと「棍棒飛ばし」の全国大会「第1回 全日本棍棒飛ばし選手権大会」=大宇陀健民グラウンド(奈良県宇陀市内)
棍棒を棍棒で打ち飛ばすスポーツこと「棍棒飛ばし」の全国大会「第1回 全日本棍棒飛ばし選手権大会」=大宇陀健民グラウンド(奈良県宇陀市内)

 時刻は午前8時過ぎ。自然に囲まれたグラウンドに大人たちが集まり、いたって真剣に棍棒を打ち飛ばしている。時折「ナイス棍棒!」というかけ声も聞こえてくる。何をしているのか聞くと「棍棒飛ばし」だという。ちょっとよく分からないが、気になるので詳しく話を聞いた。

 棍棒を棍棒で打ち飛ばすスポーツこと「棍棒飛ばし」の全国大会「第1回 全日本棍棒飛ばし選手権大会」が7日、大宇陀健民グラウンド(奈良県宇陀市内)で開催された。管理が行き届かない人工林や里山の現状に関心をと2021年8月に誕生した同競技。昨年の第0回大会はあいにくの大雨だったが、今年は天候に恵まれた。

 基本的にやることはシンプル。棍棒台に棍棒(被打棒)を少しはみ出るように置く。そのはみ出た部分めがけて棍棒(殴打棒)を一気に振り下ろすことで棍棒(被打棒)を打ち飛ばす…以上。競技は大きく「個人戦」と「団体戦」に分かれる。「個人戦」は打ち飛ばした飛距離を競う。「団体戦」は打ち飛ばす攻撃側と、それを打ち返して妨害する守備側(防具着用)に分かれ、独自のルールで点数を競う。

 被打棒は重さ約1200グラム。これが手慣れた競技者にかかれば、面白いように飛んでいく。女性でも15メートルを超える飛距離をたたき出す。好記録が出ると観覧席から「ナイス棍棒!」とたたえる声。都会の公園では絶対に見ることのできない豪快さと爽快感が魅力のひとつだろう。

 個人戦・男子の部には20人以上が参加。臨界線と呼ばれる28メートル超えの飛距離を4人がクリアする混戦となった。最終的に戦いを制した磯田犬槐(いそだ・いぬえんじゅ=棍棒ネーム)さんは「ラッキーだったと思います」と謙遜。早朝からの戦いに「眠くてぼーっとしていたのが良かった」と語った。

 豪快さと爽快感にあふれた新スポーツ。競技人口拡大ももくろむが、団体戦の加盟要件には「チームとしてホームタウン内の山林整備に関係していること」など細かく厳しいものもある。同大会を主催する全日本棍棒協会の会長・東樫さん(あづま・かし=棍棒ネーム)は開催に先立ち「木を使ったスポーツをやる以上、山をケアしていくのは当然のこと」と話す。「棍棒飛ばしをやることで山の整備もする。そして、棍棒飛ばしが『楽しい!』と人が集まってくる。社会が棍棒飛ばしによって、さらに豊かになる。そういうサイクルを回していけたら」と語っていた。

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