田舎出身の人から見た都会の特徴がSNSユーザー上で大きな注目を集めている。
きっかけになったのはピン芸人の九月さん(@kugatsu_main)の
「地方の田舎あるあるで『サイゼがない』『ガストがない』みたいなのをよく聞く。実際、僕も地方出身なので、そういうのを言ったこともある
ただ実際のところ、都会に出て一番驚いたのはむしろ個人商店の多さだった」
という投稿。
九月さんの出身地、青森県八戸市では郊外に飲食チェーンや大型のスーパー、ドラッグストアなどは揃っているが個人商店は少なく、都会のように中心部の賑わいは見られないのだという。大型ショッピングモールの進出や過疎化の影響で地方の個人商店が立ち行かなくなるという話はよく耳にするが、実感としてそこまで大きな差があるのだろうか。
SNSユーザー達から
「三大都市には依然活気のある個人商店の商店街がありますよね
いかにも都会といった洒落た店もあるけど
茶番を売る店とか肉屋みたいな庶民の生活感のある店が今もあったりする
大型SCやチェーン店に侵食された『そこそこの田舎』より
東京の方が『古い日本』を感じる時さえあります」
「自分は島根の小さな町に住んでますけど、マジで個人店舗はないですね。かつては港町として栄えて商店街もあって活気のある町だったそうですが今では見る影もないです」
「銀座に扇子や箸の専門店なんてのが成り立つぐらい東京は人が多いんだろうなあ、と思える」
など数々の共感の声が寄せられる今回の投稿。
九月さんにお話を聞いた。
ーー現在、東京在住の九月さんですが、ふだん個人商店を利用される機会はあるでしょうか?
九月:よく行きますよ。一番使うのは喫茶店ですね。チェーンのお店にも行くのですが、やっぱり個人店が好きです。忙しい時期だと、ほぼ毎日喫茶店で作業をしていたりします。僕は普段コントやエッセイを書いているのですが、喫茶店は息抜きの場であり、作業の場でもあるイメージです。
また、本屋さんも好きです。本屋さんが多い街だと、お店ごとで扱っている本のジャンルが大きく違っていたりして、まるで街全体が大きな本屋さんで、一つ一つのコーナーを歩いているかのような気持ちになります。
ーー個人商店のある街の魅力についてお聞かせください。
九月:「その街にしかない呼吸が、お店から作られていること」でしょうか。街というのは、様々な建物や人が集まって、全体として作られるものだと思うんです。このとき、チェーン店だけが部品になると、少し個性が出にくくなる。やっぱり個人店があると街に個性が出るような気がしますね。
もちろんチェーン店ばかりの地域にも、その土地の呼吸はあると思うんです。ただそれは、方言や気候などから生まれるものであって、お店から生まれるものじゃないなと感じます。特に郊外なんかは、均一的な風景になっていることも多いですよね。僕の地元もそういうエリアが多く、都会に出てから「お店が街を作っている」という感覚を初めて抱いたんです。
ーー投稿の反響へのご感想をお聞かせください。
多くの人に読んで頂けたのですが、ありがたいことに概ね「あるある」というような反応でしたね。
ただ、僕のつぶやきは、地方の人口5~30万人くらいの街を念頭に置いたものだったんです。僕の地元の八戸市は人口20万人くらいで。街の規模がこれより大きかったり小さかったりすると、事情も違うんだろうなと思いました。
◇ ◇
読者のみなさんがお住まいの地域では個人商店が元気に営業出来ているだろうか?
なお今回の話題を提供してくれた九月さんはこれまで、YouTubeチャンネル「九月劇場」に800本以上のコント動画を投稿。日常の気付きやちょっとした疑問、違和感や好奇心などが昇華されたツボをつくものばかりなので、ご興味ある方はぜひチェックしていただきたい。
九月さんプロフィール
1992年生まれ、青森県八戸市出身。京都大学教育学部卒業、同大学院教育学研究科修士課程修了。
事務所無所属のピン芸人として、一人芝居風のコントを中心に活動中。
劇場、アートギャラリー、バー、民家、廃墟、山、海など、全国各地で場所を選ばずコントライブを行なう。
Twitterアカウント:https://twitter.com/kugatsu_main
YouTubeチャンネル「九月劇場」:https://youtube.com/channel/UC04k7X9-GZapcoL0PKNqvww
初のエッセイ集「走る道化、浮かぶ日常」(祥伝社)発売:(リンク)
「青森から京都の大学へ。そして東京へ。土地を移動しながらピン芸人として活動する中で考えたことを綴った初のエッセイ『走る道化、浮かぶ日常』が祥伝社より八月に発売されます。本ツイートとも共通する、都市と地方を往復する話を含む十八篇」