どくさいスイッチ企画がアマチュア芸人の頂点に「僕、本当に仕事できなくて…」妻に捧げる号泣V

山本 鋼平 山本 鋼平
大会の司会を務めたモグライダー芝大輔(左)、ともしげ(右)に祝福される優勝したどくさいスイッチ企画=都内
大会の司会を務めたモグライダー芝大輔(左)、ともしげ(右)に祝福される優勝したどくさいスイッチ企画=都内

 〝大阪からの刺客〟が東京で歓喜の涙を流した。「全日本アマチュア芸人№1決定戦 2023」の決勝が8日、都内の座・高円寺2で開催され、どくさいスイッチ企画がひとりコントで爆笑をかっさらった。事務所に所属しない学生と社会人362組が参加した大会の頂点に立った。決勝進出最年長の35歳サラリーマンは、アマチュア芸人ナンバーワンという名誉を手にし、大阪で待つ妻への感謝を口にした。

 優勝が決まり、ソロユニット・どくさいスイッチ企画を主宰する青山さんは膝に手を置き、むせび泣いた。「僕、本当に仕事できなくて…。こんな…本当に良かった」と声を振り絞った。ファイナルラウンドではクイズ王をテーマに、テンポよくネタを繰り広げた。審査員の「馬鹿よ貴方は」新藤竜巳からは「質問を語らず、答えるだけなのは新しい。クイズネタはまだ進化できるのかと思った」と評価された。

 決勝進出12組が3ブロックに分かれ、勝ち残った3組によるファイナルラウンド。ジャンル不問の大会らしく票は割れた。東大生と早大生の漫才コンビ・ナユタは新藤と「ザ・ギース」尾関高文の2票、どくさいスイッチ企画が「フランスピアノ」なかがわりょうと赤嶺総理の2票で同点。漫談を繰り広げた青学生の土井集合住宅に投票していた、K-PRO代表の児島気奈氏が次点にどくさいスイッチ企画を挙げていたことがスクリーンに表示され、雌雄が決した。

 青山さんはメーカーに勤務する大阪在住の35歳。神奈川県出身。関西の有名大学に進学後、落語研究部でお笑いに親しんだ。大阪で就職後は社会人落語を中心に活動を続けていたが、新型コロナ禍で「ご年配の方を集めることができなくなった」と、2020年9月から久しぶりにひとりコントを再開。非よしもと芸人に活躍の場を提供する大阪・心斎橋のライブハウス楽屋Aなどでネタを磨いた。今年のR-1グランプリでは準々決勝に進出、アマチュア芸人のトップ層に躍り出ていた。

 ネタは机の前で考え抜くスタイルだという。「何かのきっかけを広げていく。ネタが降りてくるようなことはもうありません」と、悩みながら創作した。「落語とはネタの時間が全然違うので、短くまとめるのに苦労します。今回のネタも本当は6、7分くらいなのですが、きょうは何とか4分にできました」と語った。

 ステージで「仕事ができない」と語ったのは、謙そんではないという。「僕は本当に仕事ができない。そっちの方で評価してもらえることはなくって。だから、お笑いを始めて友達も、褒めてもらえることも増えて、それがすごくありがたかった」と語った。妻とはひとりコントを再開した頃に交際を始め、今年1月に結婚。「ずっと見てもらい、ネタの相談もしています。一番応援してくれているので、最大規模の感謝をしたい」と語った。

 アマチュア芸人ナンバーワンの称号を手にしたが、満足はしていない。「次のR-1グランプリで準決勝進出を目標にしています。今回の大会でも僕は一回り上で最年長でしたが、それでもお笑いを続けていきたいですね。これからも」と先を見据えた。

 ◆大会を主催する社会人お笑い協会の奥山慶久代表「お金のためでも仕事でもないお笑いに、出場者には多大な情熱をかけていただき、素直に感動しました。会場はこれまでで最も大きい規模です。250名以上のお客さんに来ていただき満席でした。出場エントリー数も過去最多。麻雀、ボーリングのように趣味としてのお笑いが広がることが目標ですが、確実に裾野は広がっています。タイトルが大阪に渡ることも、裾野が広がる意味では素晴らしいと思いました」

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