今もいたら年収2000万円 元キーエンス社員の社長が作った本革極薄ビジネスバッグ 年収及ばずも「楽しい」

チコ山本 チコ山本
「ナダヤ」の3代目、灘瑛一郎さんは元キーエンス社員
「ナダヤ」の3代目、灘瑛一郎さんは元キーエンス社員

 革小物を扱う老舗メーカー「株式会社ナダヤ」(大阪府東大阪市)が新時代にマッチした究極のビジネスバッグをつくった。革財布づくりなどで磨かれた技術の粋を結集し、芸が細かいのが特徴。いわば「大きな財布」だ。開発したのは「日本で一番給料が高い会社」と言われる「キーエンス」を辞めてまで家業を継いだ3代目。灘瑛一郎さんに(35)に聞いた。

 今回完成したビジネスバッグは革小物を扱ってきたメーカーだからこそできた繊細な部分が多い。もちろん、開発にあたっては時代の流れに応じた柔軟性と危機感があった。「ナダヤ」の灘瑛一郎さんが言う。

 「コロナ禍とデジタル化で時代が大きく変わりました。まずはリモートワークが増えたこと。これにより、ビジネスバッグが持つ意味が変わって来た。それとキャッシュレス化が進み、正直言って財布の必要性が薄れつつある。いまのままではいけない、という思いが社員の中にもあったと思います」

 新商品はいわば、現時点で究極のビジネスバッグと呼べるもので、色はグレー、ネイビー、ブラックの3種類がある。その特徴は薄くて、軽くて、おしゃれ、それでいてリーズナブルで丈夫な点だろう。厚さはわずか3センチの極薄。大きさはB5、A4サイズの2種類あり、重さは600グラム、750グラムと軽量で機能性が抜群だ。

 「財布メーカーがつくったということで、小さなバッグというよりも”大きな財布”と考えてもらっていいと思います。リモートワークが増えたと言ってもビジネスシーンで手ぶらというわけにもいかず、鞄は欠かせないでしょう。それにコロナ時代になって衛生面も重視するようになっていることから脚元に置くのではなく、小さなイスにもちょこんと置けるのが便利で扱いやすいのではないでしょうか」

 灘さんのチャレンジ精神と細やかな気配りは、もしかすると新卒で入社した「キーエンス」(大阪市)の影響が大きいのかも知れない。会社ランキングでしばしば「日本一給料が高い会社」と取り上げられるトップ企業。在籍はわずか2年あまりだったとはいえ、多くのことを学び、鍛えられたという。

 「そのままいたらどうだったんでしょう。いずれは後を継がないといけないと思い、辞めたんですが、同期の年収は2000万円を超えているでしょう。いまはとてもそれに及びませんが、ものづくりの楽しさを感じています」

 バッグへのこだわりはまだまだある。財布メーカーの特性を生かし、アコーディオンのように開閉する「風琴マチ」という日本独自の伝統技法を採用しているから大きく開き、中身も見えやすく、取りやすい。底面の構造に背段(せだん)を取ることで見た目がスマートに。さらに、内側には名刺が入るようになっており、整理もしやすいようになっている。もちろん、表面を触ると実感できるように本革で高級ブランド「プラダ」と同じサフィアーノ調に仕上げており、傷がつきにくい。

 「iPadやノートなど思った以上に入りますし、取っ手の部分をまっすぐに立つようにも工夫しました。持ち運びにも便利だし、小脇に挟むこともできます」と灘さん。なるほど、老舗革小物メーカーの自信作というだけのことはある。

 販売はマクアケで2月24日午前11時から5月8日まで。定価格はB5サイズ:13000円(税抜)A4サイズ:15000円(税抜)個数限定の早割でB5:9000円(税抜)A5:12000円(税抜)

https://www.makuake.com/project/nadaya_03/

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