コロナ禍で迎えた3年目の忘年会シーズン。第8波が懸念されている中、ささやかながら〝敢行〟する人たちもいる。そこで幹事が体験する「あるある案件」として、店を予約する際に生じる「ポイント」がある。幹事の特権でポイント分を〝独り占め〟したのではないかと疑われることがあるのだという。そんな時、あなたならどうする?「大人研究」のパイオニアにして第一人者で、『大人養成講座』など多くの著書を世に送り出してきたコラムニストの石原壮一郎氏が「大人の切り返し講座~ピンチを救う逆転フレーズ~」と題し、その対策をお伝えする。
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【今回のピンチ】
久しぶりに課のメンバーで忘年会。幹事を仰せつかって店を予約した。会計のときに先輩が「予約のときにポイントとか付いたんじゃないの」とニヤリ。たしかに付いたが……。
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世の中には二種類の人間がいます。飲み会の幹事をやったことがある人と、やったことがない人。参加するかどうかの返事をなかなかよこさなかったり、悪びれずにドタキャンしたり、店や料理や会費に文句を言ったりするのは、ほぼ確実に後者です。
こんなことを言える先輩も、後者なのでしょう。たしかにグルメサイトなどで飲み会を予約すると、ポイントが付きます。とはいえ、せいぜい数百円程度。幹事をする手間や時間の負担とは、まったく釣り合いません。
先輩は暗に「その分をポケットに入れるのはズルいんじゃないの」と言いたいのでしょうか。あるいは、そんなつもりはなく思ったことを口にしただけなのでしょうか。
ここで「いや、電話で予約したので付いてません」「えっ、なんですかそれ?」などと半端にごまかそうとすると、そのやり取りをほかの同僚に聞かれるなどして、騒ぎが広がりかねません。周囲に「なんかズルイことをしたらしい」と思われるのは不本意です。
あえて火中の栗を拾うというか、正面突破を試みるというか、ことさら大きな声で、「ああ、ちょっと付いたかもしれません。どうするのがいいでしょうね。頭割りにして、その分の会費を減らしましょうか」と聞き返せば、さすがに相手も「そうしろ」とは言わないでしょう。やり取りを聞いた別の参加者が「いいよいいよ。幹事をしてくれたんだから」と言ってくれる可能性は大。
そしたら、一応「えっ、でも」と戸惑いつつ「では、お言葉に甘えます」と話を終わらせます。その先輩を責めることなく、結果的に孤立させているところがミソ。
それでもまだ先輩が不満そうなら、「でも、わずかな額とはいえ、不公平はいけませんよね。そうだ、次は先輩が幹事をやってポイントをゲットしてくださいよ」と無邪気に提案しましょう。ちょっと意地悪な仕打ちですけど、このぐらいは当然の仕返しです。