誰も気づかなかった!?オランダ出身の抽象画家ピート・モンドリアンが描いた作品「ニューヨーク・シティ1」が、なんと77年間、上下逆さまに展示され続けていたことが明らかになった。この作品は、赤、青、黄の3色の細いテープで格子模様が描かれている。
モンドリアンは20世紀屈指の芸術家の一人とされ、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍し、現代抽象スタイル、ミニマリズム、表現主義の先駆者だった。問題となった作品は、1941年に制作され、1945年に米ニューヨーク近代美術館(MOMA)で初展示。その後は、世界のさまざまなギャラリーで展示されていた。
美術館の学芸員であるスザンヌ・マイヤービューザーさんは「なぜそれが起きたのかはお話しできない。おそらく永遠に謎のまま。だが、この作品がMOMAに初めて展示されたのは1945年で、そのときすでに逆さまになっていたことが、当時の写真から分かっている」と話す。
マイヤービューザーさんは、モンドリアンのスタジオを写した古い写真を発見したが、「ニューヨーク・シティ1」が現在とは逆さまに飾られていた。そのため、この作品がずっと間違った状態で展示されていたことに気付いた。
気になる「今後」ついて、この作品が“正しい向き”で飾られることはないという。マイヤービューザーさんは「正しい向きに戻すつもりはない。様々な理由でできない。とりわけ保存上の理由」と説明した。作品に使われていた粘着テープが77年間も同じ方向に下がってており、絵の方向を逆にしてしまうと、粘着テープが外れ、絵作品を破損する可能性があるためという。