コロナ禍や経済的な不安が世界を覆う中、「ガイア理論」という考え方を元に、今後の世界を予見する人がいるという。ジャーナリストの深月ユリア氏が、その理論について説明し、提唱者に話を聞いた。
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「地球は一つの生命体であり、自己調節システムを備えている」という「ガイア理論」がある。そして、近年になって「生命に寿命があるように、人間の集合体としての文明にもバイオリズムと寿命が存在する」という「ガイアの法則」が唱えられている。
作家・日本文化研究家の千賀一生氏は著書「ガイアの法則」の中で、2003年にバクダッドのエリドゥ遺跡で神秘体験をし、その体験を通じてこの法則を感知したことを語っている。
同書によると、(1)文明はシュメールから始まり、1611年に一度、地球の16分の1の距離(経度でいえば22・5度)を移動していく。(2)文明は西と東を交互に(各800年程度、東西合わせて1611年)、DNAの螺旋(らせん)構造のように移動する。西に移動した場合は物質文明が栄えて、東に移動した場合は精神文明が栄える。(3)歴史は1611年サイクルの1/16である、101年ごとに繰り返す。そして、昨今、悲しくも、101年前の悲劇が繰り返されているという。
千賀氏に筆者が取材したところ、「新型コロナウィルスパンデミックの101年前にはスペイン風邪がパンデミックを引き起こし、世界を恐怖に陥れました。そして、安倍元首相銃撃事件の101年前、1921年に起きたのが原敬元首相の暗殺事件です」
さらに、千賀氏によると、今後、ガイアの法則からみて危惧されるのは日本が戦争に加担することだという。
「101年前、日本は強権性を強め、民衆の価値観も強い二元的方向へと誘導され、気付いた時には上意下達式社会となってしまい、悲惨な戦争へと進みましたが、現在の状況と類似しています」
「今、パンデミックやロシア・ウクライナの戦争などにより、大変な経済の不安状態に直面しておりますが、1927年に金融恐慌、1929年に世界恐慌、その後、第二次世界大戦争が勃発しました」
「政治と宗教の癒着も今日の状況とそっくりで、100年前の日本も政治と宗教団体が強い結びつきを形成し、日本を軍国主義へと推し進めました」
歴史は機械的に繰り返されている訳ではないが、残念ながら101年前とさまざまな出来事が繰り返されてしまっているのは事実だろう。
7月10日の参議院選挙では9条の改憲派の当選が過半数を越えた。長引くウクライナ戦争に加え、台湾有事のリスクも高まった。台湾が戦場となれば、日本の立場は「ウクライナ戦争時でうポーランドになる」とも言われているが、その時、日本はどうするのか。