東京五輪チケットの記念発行サービスがスタート「せめて何かを残したい」

山本 鋼平 山本 鋼平
五輪チケットのpdf(一部加工)
五輪チケットのpdf(一部加工)

 東京五輪・パラリンピック組織委員会は7日、購入者を対象に観戦チケット発行サービスを開始した。無観客、有観客会場を問わずpdfファイルで13日正午までダウンロードが可能。発行手数料等はかからない。

 五輪競技では96%以上が無観客で開催された。同委員会の通知メールには「チケットをご購入いただいた皆さまには誠に申し訳ございません。東京2020大会の安全な運営のためにご理解とご協力を賜りまして、厚く御礼を申し上げます」とあった。購入者からチケットの記念発行の要望を受けた措置という。なお、購入代金は全額が払い戻される方針になっている。

 15枚の当選チケットが幻になった都内在住の40代会社員は「これを喜ぶ人が多くいるとは思いませんが、せめて何かを記念に残したい気持ちは理解できます」と話した。「しかし、普通に東京で暮らしている分には、とてもこの近くで五輪が行われているとは思えない夏でした。反対デモに参加したり、会場近くの公道で騒ぐ一部の者以外にとっては、異世界の出来事に感じたのではないでしょうか。テレビやネットの中で騒がれるだけで、街中や通勤電車には当然海外からの旅行客はもちろん、パブリックビューイングも、祝福ムードもなく、飲食店は早く閉まり、ただ沈んだ空気が漂っていました。むなしさだけが募りました」と続けた。

 スポーツ観戦が趣味だったというが「もう死ぬまで日本で夏季五輪は開催されないでしょう」と消沈。テレビやスマートフォンで映像は見ていたといい「世界選手権とは比べものにならない選手の喜怒哀楽が伝わってきました。一方で、キャスターら報道陣が選手と同化して喜怒哀楽をたれ流す様子にはうんざりで、誰もいない観客席が映る度に気が沈みました。大会後にメダルを獲得した選手が〝国民への感謝〟を表しながらタレントや芸人とゲーム対決やトークを行う番組が目に入ると、一層複雑な気持ちになりました。残念ながら今回の五輪は、開催国の社会通念を変え、人類の進歩や協調を促すようなものではなく、単なるエンタメコンテンツの一つに過ぎないように感じました」と語っていた。

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