最近、肝臓病を中心とした最新の診断・治療について学びました。今回は、特に注目されている話題をご紹介します。
脂肪肝は飲酒だけが原因ではありません。近年、肥満、糖尿病、脂質異常症などの代謝異常に関連する脂肪肝は、MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)と呼ばれるようになりました。
その一部は肝臓に炎症を伴うMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)へと進行し、肝線維化(肝臓が硬くなる変化)を経て、肝硬変や肝がんに至ることがあります。
特に糖尿病を合併している方では肝線維化が進行しやすいため、注意が必要です。
診断補助として、血液検査や、肝臓の硬さを調べる特殊な超音波検査などを用いて、進行した肝線維化の有無を評価します。
治療の基本は食事・運動療法による体重管理ですが、近年は、肥満や糖尿病の治療薬が肝臓の炎症や線維化の改善にも有効であることが報告されています。
ウイルス性肝炎は治療が大きく進歩
C型肝炎は、直接作用型抗ウイルス薬の登場により、95%以上の患者さんでウイルス排除が可能になりました。
しかし、ウイルスが消失しても、肝線維化が進んでいた方などでは肝がんの発症リスクが残ります。そのため、治療後も定期的な超音波検査などによる経過観察が重要です。
一方、B型肝炎では核酸アナログ製剤によってウイルスの増殖を抑制できますが、肝細胞内に残存する特殊なDNAなどのため、完全な排除は困難です。現在、HBs抗原の消失を目指す新たな治療薬の開発が進められています。
肝がん・膵がん治療にも新たな展開
進行した肝細胞がんでは、免疫チェックポイント阻害薬と血管新生阻害薬などを組み合わせた複合免疫療法が普及し、治療の選択肢が広がっています。
また、難治性がんの代表である膵がんでも、がん細胞の増殖に関与するKRAS遺伝子の変化を標的とした分子標的治療薬の研究が進んでおり、今後の治療成績の改善が期待されています。
最後に、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、病気が進行するまで自覚症状が現れにくい臓器です。
健康診断で肝機能異常や脂肪肝を指摘されても、症状がないからと放置していないでしょうか。
医療技術は日々進歩していますが、最も重要なのは早期発見と適切な管理です。定期的な検査に加え、肥満や糖尿病などの生活習慣病を適切に管理することが、将来の肝硬変や肝がんを防ぐ第一歩となります。