作家の竹田恒泰氏(49)が手がける3基目の前方後円墳墓が14日、大阪府大東市の霊園「大阪メモリアルパーク」に完成し、竹田氏が出席して竣工祭が行われた。
建築家の安藤忠雄氏(84)が設計、監修を務める本格的な古墳型の樹木葬墓地で、墳丘は全長約20メートル。最大1万7000人分の納骨スペースがある。竹田氏は2024年、古墳型のお墓を展開する株式会社「前方後円墳」を立ち上げた。これまで千葉県野田市、香川県高松市に前方後円墳墓を開発。今後7カ所の建設がすでに決定し、6~7年で100基の古墳墓を造ることが目標だという。
明治天皇の玄孫である竹田氏は「母方は普通の仏教霊園にお墓があるんですけど、父方の方は宮内庁管理で、古墳なんですよ。小さい頃からお墓参りというと、父方の方はずっと古墳を拝んできた。父が長男ではないので、どこかに墓所を造らないといけないということで、古墳を売っているのあるのかな…と思って探したら、どこにも売ってなくてですね…」ときっかけを語る。
「私の友人とか周りの人たちが『古墳のお墓ってものすごく素敵なんじゃないか』って。私の中では普通だったんですけど、興味を持つ方が多かった。時代は樹木葬。みんなで入れる古墳墓があったら欲しい、そこに入りたいという方がかなりいらっしゃった。けっこう喜ばれるのではないか」と振り返った。
墓石を設けず、樹木を墓碑とする樹木葬のニーズが高まりつつある。竹田氏は「少子化が進んでいて、今は子どもが1人、2人いれば多い方。このお墓どうしよう…と悩んでいらっしゃる方が多い。墓じまいを検討している方もとても多いので、墓じまいした先の納骨先と、そして樹木葬は安くて手軽。一度お金を払ってしまうと、毎年の管理費がいらない樹木葬も多い。墓は小さい方がいいという方だけでなく、墓じまい。この需要はかなりあるようで、樹木葬が非常に注目されている。そういう方の受け皿になれるような形でサービスを決めている」と、少子化や家族の分散でお墓の維持が難しくなり、墓じまいを検討する人が増えていると解説した。
宗教は不問。管理は霊園が行う「永代供養」型で、法要や祭祀(さいし)も定期的に行われる。1人用は70万円(税込)からだが「先行販売ということで、少し割引にして販売したところ、用意していた280区画が完売をいたしまして、私たちもそこまで売れるとはちょっと想像してなかった」と話す。
竹田氏は「古墳全体に御霊(みたま)が宿りますので、正面から拝んでいただいて。安いんだけども、手抜きがない。安いんだけれども、貧弱ではないという、費用対効果が高い。価格の割には満足度の高いものが提供できると思う」と強調した。
満足度の高い、質の良いお墓の提供を第一に掲げた竹田氏は「次に申し上げるのは、私の裏テーマなんですけれども…」と前置きした。「古墳のお墓をきっかけに、古代のことに興味を持ったりとか、まさに日本の建国の時のものですので、日本建国の時、古墳時代に思いをはせていただける、そんなきっかけになったらいいなということですね。日本の歴史、日本の建国に意識を向けるということは愛国心が高まることにつながります。事業ですから、やっぱりビジネスとして成り立たせなくてはいけないと思っているんですけれども、そういう社会的意義がある」と語った。
さらに「大阪メモリアルパークは仏教霊園なんですけれども、神道施設である前方後円墳を建てること、鳥居を建てることを認めて、受け入れてくださった。仏教の施設で、神主さんが定期的に来て祭祀を行うなんてことは他にあまり例がない。神仏習合の美しい姿が少しでもまたつくれたら…そんな思いもあります」。竹田氏は、古墳型の墓に込めた熱い思いを語った。