中学受験では、親のかかわり方が結果を大きく左右する。『中学受験は親が9割』『親がやるべき受験サポート』といったタイトルの本が売れているのも、その表れだろう。とはいえ、どこまで手を出すかのさじ加減は難しく、正解は家庭によって異なる。
筆者の家では通塾せずに2022年に長男(現在高校1年生)が中学受験を終え、現在は小5の次男が通信教材を利用し、自宅学習で受験勉強に取り組んでいる。そんななか親としてどこまで学習に関わるかについて、ひとつ自分に課しているルールがある。それは、「見返りを求めない範囲にとどめる」というものだ。
たとえば、理科や社会の暗記物をラミネートしてお風呂で使えるようにする。これは筆者にとっては手軽な作業で、むしろ楽しいくらいなので気軽にやる。結果的に子どもが1度も使わなくても、まったく腹は立たない。「せっかく作ったのに」と思うことはない。
一方で、「間違いノートを作る」といったサポートはあえてやらない。ノートの構成を考え、時間をかけてまとめる作業に加え、それを毎日の学習にどう組み込み、どのタイミングで復習させるかといった運用面の工夫も必要で、どちらも大きな労力を要する。もしそのノートが使われなかったら、「こっちはここまでやったんだから、ちゃんと使って勉強してよ!」と怒りが湧いてきそうなので、最初から手を出さないようにしている。
もちろん、「やらなければならないこと」は何も考えずにやる。たとえば以下のようなものは、子どもが1人でこなすのは難しく、親の手助けが不可欠だ。
・テキストや問題集の購入
・通信教材の手続き
・テストのスキャン・アップロード
・模試の申し込みや会場への送迎
・学校説明会や文化祭への付き添い
こういった「必要なこと」は迷わずやる。一方で、「やったほうがいいかも」というレベルのことに手を出すときは、必ず自分に「たとえまったく効果がなかったとしても、腹が立たないか?」と問いかけるようにしている。
もし「腹が立たない。自分がやりたくてやってるだけ」と思えるなら、やる。逆に「やったのに無駄だったと思ってイライラしそう」と感じたら、やらない。
仕事でも家事でも、やったほうがいいことは無限にある。中学受験も同じで、すべてに手を出していたら親の心身がもたない。心の平穏を保ちながら、受験本番までの数年間を走りぬくために、何をしないかの線引きをあらかじめ決めておくことが大切だと思っている。
<プロフィール>
野田 茜
2男1女のママライター。2022年、高1長男が完全塾なしで中学受験をし、偏差値(四谷大塚)60半ばの中高一貫校へ進学。現在、小5次男が通信教材を利用し自宅学習で中学受験に挑戦中。自身は中学受験未経験で大学まで公立育ち。中学受験の問題の難易度にまったく歯が立たず、逆に子供に教えられる。「ママ、教えてあげよっか?分かる?」と次男に心配される日々。