いよいよ共通テストまで残り50日。この直前期は、受験生本人はもちろん、我が子の頑張りを見守る保護者にとっても、最も緊張感が高まる時期ではないでしょうか。
「ここから点数は上がるのだろうか…」と不安になるかもしれませんが、安心してください。この直前期の点数アップは、決して特別な才能で得られるものではありません。
事実、気持ちが不安定で、勉強に向き合えたり、向き合えなかったりしていたお子さんが、保護者が対応を変えたことで安定して学習できるようになり、直前期にグッと点数が伸びた事例があります。
それは、保護者が環境を整え、メンタル面を支えることで生まれる、子どもの「最高の集中力」によって引き出されるのです。この直前の50日間を「ただ焦る期間」ではなく「最高の集中期間」に変えるために、保護者がすべきことを「戦略」「環境」「声かけ」の3つに分けてお伝えします。
【戦略】「やらないこと」を決める「引き算」戦略
残り50日の最大の敵は「焦り」からくる非効率な学習です。この直前期に成績を上げる鉄則は「足し算」ではなく「引き算」です。
最も重要なのは、新規教材・応用問題は「完全にストップ」すること。新しい知識よりも、過去に間違えた問題(復習)や「基礎の再点検」にエネルギーを注ぐ方が、圧倒的に点数につながります。また、保護者が「本番シミュレーション係」となり、時間配分の練習に一緒に取り組むのもオススメです。親子で「復習リスト」を作り進捗(しんちょく)を見える化しても良いですね。焦らず、取れるところを確実にする戦略こそが50点アップにつながります。
【環境】最高の集中力を引き出す「守りのサポート」
保護者の最大の役割は、子どもが勉強に集中できる「ノイズ遮断空間」を家庭内に作ることです。特に、保護者の不安な表情や小言は最大のノイズとなります。保護者自身がメンタルを安定させ、家庭内の雰囲気を前向きに保ちましょう。
また、体調不良は点数ダウンに直結するため、直前期の生活リズム管理は極めて重要です。試験の2週間前から徐々に起きる時間を調整し、当日に合わせた時間に起きられるようにしましょう。それまでは、無理に夜型を矯正する必要はありません。保護者は「環境と健康のプロ」に徹し、栄養バランスの取れた消化の良い食事の提供を心がけましょう。
【声かけ】自己効力感を高める「魔法の言葉」
保護者のちょっとした言葉一つで、子どものやる気は大きく変わります。
「結果」ではなく「行動」を具体的に承認し(例:「時間通りに始められたね」)、「勉強しなさい」を「行動を促す質問」(例:「今日のタスクは?」)に変えることで、自律的な行動を促します。行動の承認は、子どもに「自分は目標に向けて前に進んでいる」という感覚(自己効力感)を与え、自走力を高めるからです。そして何より、「我が子は大丈夫」と信じ抜く保護者自身の不安のコントロールこそが、子どもにとって最高の安心材料となります。
親子の「チーム戦」で最高の50日間に
受験直前期は、保護者が「環境とメンタル」のマネージャーとなり、子どもが「勉強」というフィールドで最高のパフォーマンスを発揮する「親子のチーム戦」です。
保護者が不安をコントロールし、戦略的なサポートに徹することで、お子さんは勉強に集中でき、その努力は必ず点数アップという結果につながります。
最後まで笑顔で、最高の50日間にしてください。
あなたは、今日から何を取り入れますか?
<プロフィール>
鈴木詩織
受験コーチング協会代表理事。中学受験・高校受験・大学受験を目指す親子向けの受験コーチングをオンラインで行う「おうち受験コーチング」のサービスを展開。4000家庭以上の親子の受験に向き合う。著書に『おうち受験コーチング』『子どもが自走する言い換えビフォーアフター』共著に『おうちエニアグラム』いずれもみらいパブリッシング。