数年前に結婚式を挙げたAさんは、その際、ある友人からご祝儀をもらえなかった。聞けば彼女はほかの友人の結婚式でも、ご祝儀を持参しなかったり、社会人としては少ない金額だったりしたことがあるという。
ある日、そんな彼女から結婚式の招待状が届いた。出席するなら当然ご祝儀を用意するべきだと思う一方で、過去の対応を思い出すと、自分だけきちんとした金額を包むことにも納得できない。かといって、あからさまに少ない金額にするのも大人げない気がして、Aさんはもやもやした複雑な気持ちを抱えている。
Aさんのように、結婚式でご祝儀をもらえなかった友人の結婚式には、どう対応すれば良いのだろうか。マナー講師の松原奈緒美さんに話を聞いた。
出席するなら相場に沿った金額を
ー自分の結婚式でご祝儀をもらっていない友人の結婚式でも、通常どおりご祝儀を包むべきでしょうか?
過去にご祝儀をもらえなかったことに対して、もやもやする気持ちを抱くのは自然なことですが、その感情と「今回どう振る舞うか」は分けて考えることをおすすめします。
基本的に、結婚式に出席するのであれば、ご祝儀は通常通り用意します。ご祝儀はお返しではありません。「以前相手からもらったから、同じ金額を返す」というものではなく、結婚するおふたりに対して、お祝いの気持ちを形にして贈るものです。
ー過去にもらったご祝儀の金額によって、こちらが包む額を変えても良いのでしょうか?
過去に相手からいただいた金額はひとつの参考にはなりますが、結婚式に出席するのであれば、相手との関係性や披露宴の形式、一般的な相場などを踏まえて判断すると良いでしょう。
ご祝儀は、料理代や引き出物代に加えて、お祝いの気持ちを込めて包むものです。その場にふさわしいとされる金額を包むのがスマートと言えます。
ー「ご祝儀をもらっていないから」という理由で、少ない金額にするのはマナー違反でしょうか?
マナーは、帳尻を合わせるためのものではありません。「以前もらっていないから」という考えで金額を極端に少なくすることは、あまりおすすめできません。
出席すると決めたのであれば、過去のことはいったん切り離し、その場にふさわしい対応をするほうが良いでしょう。
ー過去の対応に納得できず、結婚式への出席自体を迷っている場合、どのように判断すれば良いでしょうか?過去の出来事によって関係性そのものに疑問を感じているのであれば、欠席という選択肢もあるでしょう。ただし、欠席する場合には招待してくださったことへの感謝と結婚へのお祝いを伝えたうえで、丁寧に欠席の連絡をするようにしましょう。
ーご祝儀についてわだかまりがある場合、どのように対応するのが望ましいでしょうか?
お祝い事は気持ちが伴うものだからこそ、不公平さを感じることもあるかと思います。ただ、わだかまりをご祝儀の金額で表現しようとすると、かえって関係がぎくしゃくすることもあります。
出席すると決めたのであれば、後から振り返ったときに「きちんとお祝いできた」と思える対応をする。気持ちの整理がつかないのであれば、欠席という選択肢も含めて考える、としてはいかがでしょうか。
◆松原奈緒美(まつばら・なおみ) マナー講師
株式会社EXSIA代表取締役。NPO法人日本サービスマナー協会ゼネラルマネージャー講師。著書「新しい生活様式・働き方対応ビジネスマナー100」(新日本法規出版)、「信頼される人がやっているビジネス基本のふるまい事典」(かんき出版)。