会社員のAさんは、昼休みになると自分の席で昼食をとっている。ある日の昼休み、ほかの社員が外出しており、職場に残っていたのはAさんと上司の2人だけだった。Aさんは昼食を終えた後、コンビニエンスストアへ飲み物を買いに行こうとしたところ、上司から「電話がかかってきたら困るので残ってほしい」と指示を受ける。
Aさんはその後、電話を気にしながら過ごすことで、普段のように自由に休めなかった。このように昼休みに電話対応を指示された場合、その時間も休憩時間の一部となってしまうのか。会社が昼休みに電話当番を設ける際の注意点とあわせて、社会保険労務士の佐藤広一さんに話を聞いた。
昼休みに電話対応を求められたら?
ー昼休みに電話対応を指示された場合、その時間は休憩時間といえるのでしょうか?
昼休みに電話対応をするよう具体的に指示されている場合、その時間は休憩時間とは認められません。労働基準法では、休憩時間は労働者が仕事から完全に離れ、自由に利用できる時間であることが求められています。そのため、昼休みであっても会社の指示で電話や来客に対応している時間は、休憩ではなく労働時間として扱われることになります。
ーでは電話がかかってこなかったとしても、備えて待機している時間は労働時間になるのでしょうか?
会社から電話対応を指示され、いつ電話がかかってきても対応できるよう待機している場合は、実際に電話が鳴らなかったとしても、労働時間と判断される可能性があります。労働時間に当たるかどうかは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれているかが重要なポイントです。それは「業務性」と「義務性」の2つの観点から判断されます。すなわち、その時間に業務が遂行されていたのか、また、それが使用者から義務付けられた時間だったのかということです。電話が鳴ったらすぐに対応しなければならず、自由に外出したり休憩したりできない状態であれば、電話番は業務であり、また使用者から義務付けられた時間であるといえます。
一方、会社から電話番を指示されておらず、休憩中にたまたま電話が鳴ったため、自主的に短時間対応したようなケースでは、必ずしも待機時間全体が労働時間になるとは限りません。具体的な状況に応じて判断する必要があります。
ー昼休みに電話当番を設ける場合、会社側は別途休憩時間を与える必要がありますか?
昼休みに電話当番を設ける場合、その時間は原則として労働時間にあたるため、会社は別途休憩時間を与える必要があります。電話がかかってきたら対応しなければならない状態では、労働から完全に解放されているとはいえないためです。そのため、会社側は電話当番を担当した従業員に別の時間帯に休憩を与えるなど、業務から離れて自由に利用できる休憩時間を確保する必要があります。
◆佐藤広一(さとう・ひろかず) 特定社会保険労務士/HRプラス社会保険労務士法人
2000年に独立開業後、2016年にHRプラス社会保険労務士法人を設立。人事労務相談や人事労務デューデリジェンスなど、幅広いコンサルティング活動を展開している。テレビドラマの監修やメディアへの寄稿・出演も多数。『最新版 図解でハッキリわかる 労働時間、休日・休暇の実務』(日本実業出版社)などの著書がある。
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