客室乗務員やパイロットは、放射線被ばくに関連するがんによる死亡率が、原子力技術者など放射線に日常的にさらされる他の職業よりも高いことが、新たな研究で明らかになった。
これまでの研究でも、航空業界で働く人々に特定のがんの発生率が高いことは示されてきたが、それが死亡率の増加につながるかどうかを示す証拠は限られていた。医学誌「JAMA Internal Medicine」に掲載された今回の分析は、2020~2024年の米国における503の職業、約1300万人分の死亡記録を対象としたもの。国民生命統計システムのデータを分析し、パイロット約1万4000人、客室乗務員約7000人が含まれていた。研究チームは、乳がん、中枢神経系のがん、多発性骨髄腫、白血病、リンパ腫、甲状腺がん、前立腺がん、メラノーマ、非メラノーマ皮膚がんなど、放射線被ばくとの関連が指摘されるがんによる死亡を調べた。喫煙の影響を排除するため、肺がんは対象から除外された。
その結果、パイロットと客室乗務員は乳がん、中枢神経系のがん、前立腺がん、メラノーマによる死亡率が高く、パイロットは白血病による死亡率も高いことが判明した。パイロットと客室乗務員の死亡のうち、放射線関連がんが原因のものは約7%にのぼり、調査対象となった職業の中で最も高い割合だった。
なお、飛行機を頻繁に利用する乗客のがんリスクが高まるという結果は得られていない。米国の航空乗務員は宇宙放射線を年間3〜6ミリシーベルト浴びると推定される一方、長距離往復便を年10回利用する一般乗客の年間被ばく量は約0.4ミリシーベルトで、乗務員のおよそ7分の1にとどまる。