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仕事帰りのちょい飲み→帰宅途中にケガ…これって労災?通勤災害の意外な“寄り道”ルールとは【社労士が解説】

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退勤後、職場の同僚と居酒屋で数時間の晩酌を楽しんだAさんは、ほろ酔い気分で帰路についた。ところが、最寄り駅の階段で足を滑らせて転倒し、全治2カ月の骨折を負ってしまう。

Aさんは「仕事帰りのケガだから労働者災害補償保険(通称、労災保険)が降りるだろう」と信じて疑わなかったが、会社に報告すると「お酒を飲んで寄り道した結果だから対象外だ」と却下されてしまう。会社の判断にAさんは納得ができないようだが、この判断は間違っているのだろうか。社会保険労務士法人こころ社労士事務所の香川昌彦さんに聞いた。

ー仕事中ではなく通勤中も労災保険の対象となるのでしょうか?

正確には、仕事中のケガである「業務災害」と、家と職場の往復中のケガである「通勤災害」の2種類を合わせて「労働者災害補償保険(労災保険)」と呼びます。Aさんのケースは、後者の「通勤災害」に当たるかどうかが焦点になります。通勤災害と認められるには、原則として「合理的な経路および方法」で移動している必要があります。

ー仕事帰りに居酒屋へ寄った場合、その帰り道は「通勤」と認められないのでしょうか?

居酒屋で数時間お酒を飲む行為は、法的には通勤ルートからの逸脱とみなされる可能性が高いです。

社会通念上、日常生活に欠かせない「スーパーでの買い物」や「コンビニでの軽食」といった程度の寄り道であれば、ルートから外れている間は対象外となりますが、再び元のルートに戻れば、そこから自宅までの間は「通勤」として認められます。

しかし、長時間の飲酒は「通勤とは無関係な私的な行為」と判断されるため、店を出た後のルートは、たとえ自宅に向かっていても通勤災害の対象外となってしまいます。

ー「ちょい飲み」程度の短時間であれば、認められる可能性はありますか?

「ビール1杯だけ」であっても、居酒屋に立ち寄ること自体が通勤の流れを止める行為とみなされます。スーパーなどでの「中断」が認められるのは、あくまで「日常生活に必要不可欠な行為」に限られているからです。

飲酒を伴う娯楽的な寄り道については非常に厳しく、その時点で労災保険の保護は切れてしまうと考えたほうがよいでしょう。

ーでは、「会社の公式な歓送迎会」や「接待」の帰りであれば、労災扱いになりますか?

会社が主催し、参加が事実上強制されているような「公式な行事」であれば、その飲み会自体が「仕事の一部」とみなされます。この場合、会が終わって帰宅するまでの道のりは通常の「通勤」と同じ扱いになり、通勤災害が認められる可能性がぐっと高まります。

ー公式な会であっても、酔っ払って転んだ場合は個人の責任を問われますか?

たとえ公式な会であっても、本人の不注意が著しい場合、例えば「泥酔して千鳥足になり、通常ならありえない場所で転倒した」といったケースでは、事故の主な原因が「通勤の危険」ではなく「本人の飲酒」にあると判断されます。そうなると、申請そのものはできても、労働基準監督署の審査で不支給となることがあります。

◆香川昌彦(かがわ・まさひこ) 社会保険労務士/こころ社労士事務所代表
大阪府茨木市から労使の共存共栄を目指す職場づくりを支援。人材育成・定着のための就業規則整備や評価制度構築、障害者雇用、同一労働同一賃金への対応といった実務支援は、常に現場の視点に立つ。ネットニュース監修や講演にて情報発信を行う一方で、SNSでは「#ラーメン社労士」としても活動し、親しみやすい人柄で信頼を得ている。

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