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「給料が5万円多い!」会社のミスならもらっても…「気づかなかった」は通用するの?【弁護士が解説】

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入社3年目のAさんは、今月の給与明細を見て驚いた。残業代が計算ミスで、本来より5万円ほど多く振り込まれていたのだ。最初は「ラッキー!」と胸が躍ったが、ふと「これって返さなきゃダメなのかな?」「黙っていたらどうなるんだろう?」と不安がよぎる。

友人からは「会社が間違えたんだから、もらっておけば?」と“悪魔の囁き”も聞こえてくるが、果たして法的にはどう扱われるのか。まこと法律事務所の北村真一さんに話を聞いた。

ー間違えて多く支払われた給料を、自分のものにする行為は何らかの罪になりますか?

まず民事上では、法律上の原因なく利益を得ている状態として「不当利得(民法703条)」に該当し、会社に対して返還する義務が生じます。

刑事上の責任については、状況によります。もし会社側がミスに気づかず振り込んだ後、Aさんがそのミスを知りながら黙って使い込んだ場合、過去に似たケースで、占有離脱物横領罪を認めた裁判例もあります。

さらに、もし会社から「振り込みに間違いはありませんでしたか?」と聞かれた際に「間違いありませんでした」と嘘をついて受け取り続けたりすれば、「詐欺罪」が成立する可能性すらあります。

ー「誤振込」だと気づきながら、使ってしまった場合のペナルティを教えてください。

前述の通り、刑事罰の対象になるほか、当然ながら会社から「返還請求」をされます。

また、多くの会社の就業規則には「不誠実な行為」や「会社の財産を不当に取得する行為」に対する懲戒規定があります。

ミスを隠して使い込んだことが発覚すれば、「譴責(けんせき)」や「出勤停止」、最悪の場合は「懲戒解雇」の対象になるリスクもあります。5万円のためにキャリアを棒に振るのは、あまりに代償が大きすぎます。

ー「気づかなかった」という言い逃れは、法的に通用するのでしょうか?

金額や状況によります。例えば、数円から数百円程度の微々たる差であれば「気づかなかった」という主張も通るかもしれません。

しかし、今回のAさんのように「5万円」という、本人の給与水準からして明らかに不自然な増額であれば、裁判所や会社は「当然気づくべきであった(あるいは気づいていた)」と判断する可能性が高いです。特に給与明細を確認する習慣がある場合、言い逃れは難しいでしょう。

ー会社が返金を求めてきた際、拒否し続けるとどうなってしまうのでしょうか?

会社は最終的に、裁判所を通じて「不当利得返還請求訴訟」を起こすことができます。裁判になれば、Aさんは元々の5万円だけでなく、遅延損害金や裁判費用まで負担させられることになります。

また、「来月の給料から差し引いておきますね」と会社が勝手に相殺することは、労働基準法の「全額払いの原則」があるため、原則として労働者の同意がない限りできません。しかし、同意を拒否し続ければ、会社との信頼関係は完全に破綻し、社内での居場所を失うことになるでしょう。

●北村真一(きたむら・しんいち) 弁護士
大阪府茨木市出身の人気ゆるふわ弁護士。「きたべん」の愛称で親しまれており、恋愛問題からM&Aまで幅広く相談対応が可能。

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