誰しも一度は「もっとお金があったら…」と考えたことがあるだろう。しかし、経済格差があまりにも大きいと、それが劣等感や執着に変わり、人生そのものを狂わせてしまうこともある。そんな切ない心情を描いた漫画『田舎コンプレックスの私とお金持ちの友達』(作・うみの韻花さん)がSNSで共感を集めている。
物語は、誕生日を迎えた31歳の美春が、SNSの過去写真を見つめる場面から始まる。そこに映るのは、10年前の輝いていた自分だ。「こんなはずじゃなかった...人生もっとうまくやれたのに」とつぶやく美春の部屋は、空のカップ麺とゴミが散乱し、昔の写真との落差が痛々しい。
時はさかのぼり、18歳の春。大学進学を機に上京した美春は、眩しいほどの都会の世界に胸を躍らせていた。しかし、ブランド物を身に着けた同級生たちを前に、次第に自信を失っていく。
そもそも、田舎で平凡ながら穏やかな日々を送っていた彼女は、SNSで輝く同年代の姿に憧れ、「東京に行けば何かが変わる」と信じて上京した。裕福ではない家庭ながら、母と祖母はそんな美春を応援してくれた。
しかし現実は残酷で、努力しても埋まらない格差に、美春は涙するのだった。そんな同作について、作者のうみの韻花さんに話を聞いた。
ー実際の港区女子たちへの取材をもとに描かれたそうですが、美春のような女性は多いと感じられましたか?
はい、美春はかつて同じように夢を見て上京した自分を投影させた、描いております。でも書籍の感想をいただく際、多くの方が「過去の自分を見てるようだった」と仰っていたので、美春のような女性は比較的多いと思います。
ー作品を通して伝えたいメッセージはありますか?
「幸せの尺度は人それぞれ」ということです。
お金や住む場所、経歴、他人からの評価で幸不幸が決まるのではなく、自分自身が何に価値を見出し、何を受け入れるかが大切だということを描きたかった思いがあります。
大事なものは失ってから気づくことが多いから、後悔しない為にも、自分にとっての本当の幸せを見つけてほしいと願います。
ー最後に読者にメッセージをお願いします!
いつも作品を読んでいただき、本当にありがとうございます!この物語が、同じように悩んだことのある方にとって、少しでも共感や、前を向くためのヒントになれば幸いです。
今は新しい作品を作っておりまして、来年またお届けできればと思うので楽しみにしてくださいね。
<うみの韻花さん関連情報>
▽書籍『人生もっとうまくやれたのに 港区女子の絶望と幸せ』
▽書籍『14歳で整形した私 「ブス」の呪いから解けて自分を好きになる日まで』
▽ブログ「うみの韻花の山あり谷あり人生マンガ」
▽X(旧Twitter)