宝塚歌劇団宙組第10代目にして初の生え抜きとなった新トップ・桜木みなとの本拠地お披露目公演『PRINCE OF LEGEND/BAYSIDE STAR』が13日、兵庫・宝塚大劇場で初日を迎えた。
『PRINCE―』は一大ブームを巻き起こした『HiGH&LOW』の制作陣により、2018年にドラマ化、19年に映画化された作品。ライブやゲームとのメディアミックスでも話題を集めた作品を、LDH JAPANと宝塚歌劇の新たなコラボにより、ミュージカル化された。桜木演じる、総資産数兆円“朱雀グループ”の御曹司の朱雀奏(セレブ王子)、今回が専科から組替え後初大劇場出演となる水美舞斗演じる京極尊人(ヤンキー王子)らさまざまな王子が繰り広げる「学園バトル×ロマンス×コメディ」が融合した「祭エンタテインメント」。桜木のトップお披露目にふさわしい祝祭劇となった。
王子たちがそれぞれチーム分けされ、生徒会長王子(鷹翔千空)、先生王子(風色日向)、ダンス王子レッド(亜音有星)、メガネ王子(大路りせ)、ヤンキー王子・ 弟(泉堂成)、下剋上王子(奈央麗斗)らをはじめ、下級生に至るまで役が与えられた。またトップ娘役・春乃さくら演じる成瀬果音の名前にちなみ、永遠の意味を持つカノン(パッヘルベル)がメインの旋律と共に演奏され、祝いムードをさらにもりあげた。
桜木は宙組で初舞台を踏み、組回りもなくそのまま宙組に配属になった、生粋の宙組育ち。血肉の全て、細胞の全てが宙組ともいう存在で、誰よりも組を熟知。ラストの「僕が10代目になれたのは、みなさんのおかげです。これからも力を合わせて頑張りたい」という台詞は、役と桜木がピタリと重なりあった。2020年8月に主演した梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演『壮麗帝』でもオスマントルコの10代皇帝に就任しており、まさに10代目宙組トップにふさわしい。
ショーのオープニング衣装にも「十代目宙組」と記されるなど、お祝いムード。歌詞にも「時は来た」「真の宙へ」と新しい門出を印象づけた。95期の桜木が宙組トップになったことで、時期はずれるものの花組の柚香光、月組の月城かなと、雪組の朝美絢、星組の礼真琴と史上初の5組制覇、5人のトップを輩出した。
また桜木と同期の水美は、宙組生として初の大劇場。芝居では明るいヤンキー王子がピッタリと合い、生き生きと演じた。ダンサーとしてならしているだけに、この日も迫力あるダンスを披露。加入を歓迎するかのように、振り付けに“花組ポーズ"が組み入れらた箇所もあった。花組時代にも同期の柚香を支え、トップに次ぐ羽根を背負ってきたが、今回も桜木を支え美しい並びを披露していた。