12日に放送されるMBS系「住人十色」(土曜、後5・00)では、古民家を目指して新築した古き良き日本を味わえる草屋根の家を紹介する。
舞台は兵庫県西宮市、住人は赤ちゃんがいる3人家族。昨年、駅から徒歩15分の川と林に囲まれた場所に念願の新居を建てた。木造平屋の屋根は一面芝生が敷き詰められている。当初はかやぶき屋根を希望していたが、防火設備など設置基準が厳しいため草屋根に変更。壁も経年変化を楽しめる杉板で仕上げ、新築ながら古民家を目指したという。
夫妻ともに古い家が好きで、古民家再生プロジェクトのボランティアとして出会った。結婚して子どもを授かったこともあり、仕事でも通える場所に家を探した。最初からイメージしていたのは、古民家のような木の家。そんな中で出会ったのが西宮名塩の自然あふれる土地、かつてのニュータウンで10年近く売れ残っていた中古物件だった。土地価格は2軒の古家付きで900万円。解体していったん更地にし、新たに建てたのがこの家だ。
草屋根には、ウッドデッキからはしごで登れるようになっている。約90帖分もある屋根一面に敷き詰められているのは天然芝で、夏になると全体が青々となる。草屋根は夏は涼しく、冬は暖かく過ごせるというメリットもあるが、土と草だけでおよそ6トンの荷重が…。そのため、下の構造体を頑丈にする必要があり、水やりの装置設置も含め、草屋根のコストは800万円にもおよんだという。
玄関の引き戸を開けると、いきなり土間キッチンが現れる。ダイニングには靴を脱いであがる。ダイニングの奥は棚に本がずらりと並ぶ読書コーナー。一段下がった場所がリビングで、段差があることで絶妙な“おこもり感”を実現。この場所のためにソファも特注した。リビングの大きな窓は、川に面した屋根付きのウッドデッキにつながる。ウッドデッキのそばには独立した離れを作り、仕事や趣味に没頭できる空間として利用している。
古民家を目指して建てた家もようやく8カ月が経った。近隣から野菜をもらうこともあるそうで、妻は「街中に住んでいたときはなかったようなつながりが持てたのは、ある種、古民家みたいな暮らしがちょっとずつできてきているからなのかなと感じます」と生活の面でも古き良き時代のような暮らしを楽しんでいる。
同番組は全国各地の「なぜこんなところに、こんな家を?」な家を訪れ、住人(アルジ)の生き方や思いをひもとく生活情報番組。MCは三船美佳と駿河太郎が務めている。