関東鉄道株式会社(本社・茨城県土浦市)は11月下旬、バス運転士を募集するアドバルーン(広告気球)を同県の土浦駅前に浮かべた。昭和期、デパートなどでよく見られたアドバルーンだが、建物の高層化やデジタル広告の多様化を背景に、とりわけ都心部ではほとんど見られなくなった。そんな時代になぜアドバルーンを浮かべたのか。同社に理由を聞いた。
同社は茨城県で鉄道事業(常総線、竜ヶ崎線)のほか、バス事業を展開している。全国的にバス運転士が不足している昨今、同社もさまざまな形態で広告を掲出し、運転士を募集してきた。
その一つとして、目を付けたのがアドバルーン。昨年、土浦市の花火大会「土浦全国花火競技大会」の際に、同様のバス運転士募集広告をアドバルーンで掲出。今回はそれ以来、2回目の実施だという。
同社の担当者は「SNS広告など、デジタル広告が増えていく中で『デジタル社会だからこそ、一周回ってアナログ広告が目立つのではないだろうか』と考え、実験的に掲出をした次第です」と意図を明かした。
実際、今回のアドバルーンを偶然見かけた人による投稿が起点となり、SNSで「久々に見た」「懐かしすぎる」「アドバルーンってまだあるんだ」と反響多数。一昔前なら全く珍しくなかった光景も、時がたてば珍しい光景に。アナログだからこそ、デジタルの世界(SNS)で目立ったかたちだ。
今回のアドバルーンが実際にバス運転士の採用に結びつくかは「効果測定の段階」としたが、SNSを起点に注目されたという点では「一定の効果があったと感じております」と広告の周知に手応えを実感。「これを機会に関東鉄道のバス運転士に興味を持っていただければ幸いです」と呼びかけた。