兵庫県知事選(17日投開票)で再選した斎藤元彦知事(47)のSNS運用をめぐり、兵庫県西宮市にあるPR会社の女性社長が、広報全般を担ったとの投稿をメディアプラットフォーム「note」に公開し、公職選挙法に抵触するとの疑いが出ている問題で、斎藤氏の代理人・奥見司弁護士が27日、神戸市内で会見した。斎藤氏は会見に同席しなかった。
代理人弁護士は「noteに記載されているような広報全般をPR会社に依頼するだとか、SNS戦略の策定といった項目はなく、いずれも製作物の依頼だった。社長がnoteに記載されているような、SNS戦略を依頼したということは事実ではない」と説明。PR会社に支払ったポスターデザインなど5項目の製作費約71万5000円の領収書を公開し、公職選挙法に抵触しているとの指摘に反論した。
また、女性社長が演説会場などで選挙活動を行っていたとの指摘についても「選挙ボランティアまたは選挙運動員としての行動であり、報酬支払いの事実も報酬支払いの約束もありません。報酬支払いの事実、約束もないことから運動員買収には当たらない」と、公職選挙法で禁止されている運動員買収にはあたらないと説明した。
県の有識者会議に出席した女性社長が、3年間で約15万円の謝礼が支払われたことについても「県と委員との関係は委任契約であり、請負契約ではありません。公職選挙法における特別の利益というのは、契約そのものの規模が大きいとか利益率が高い契約。社長と県との委任契約が特別の利益を伴う契約と評価することはできない」として、政治資金規正法違反ではないとした。
さらに「斎藤氏とPR会社の契約は先に述べた通りの5項目。これについては支払いを完了している。選挙中に女性社長が活動している点は、個人的に斎藤氏の選挙を手伝ったものであり、PR会社から労務の無償提供を受けたというものではありません」と強調した。
代理人弁護士は「政治資金規正法が禁止する政治活動に関する寄付をしたという事実はありません。社長が選挙活動を手伝ったとして、個人からの労務の無償提供については政治資金規正法によって禁止されておりません。以上から、政治資金規正法上の問題もないものと考えております」と結んだ。
女性社長がnoteに投稿した記事については「事実である部分と事実で全くない部分が記載されております。特にPR、広報全般を任せたという部分については、全く事実ではない。盛っておられる」との認識を示した。
PR会社の女性社長は20日、兵庫県知事選中の斎藤氏の広報・SNS戦略を「私が監修者として、運用戦略立案・アカウントの立ち上げなどを責任を持って行い、運用してきました」などと投稿。PR会社に有償で依頼したことが公選法違反ではないかとの指摘が出ていた。
斎藤氏は一貫して「公職選挙法など、法令に抵触するということはないと認識している。代理人の弁護士に対応をお任せしている」と述べていた。