新卒で葬儀会社に入社した主人公のあかり。人生で一度も葬儀を経験したこともない中で、死後硬直で口が塞がらない遺体や、葬儀の参列者だった女性が約1週間後に故人となってしまうなど、胸が張り裂けそうな出来事に遭遇していく。葬儀会社の知られざる裏側や、人間ドラマに焦点を当てた作品『お葬式にJ-POP』(白泉社)。
葬儀会社の葬祭スタッフとして働いていた作者のkimuraさん(@kimurax0778)は、自身が経験した業務内容や出来事に興味を惹かれ、本作『お葬式にJ-POP』(白泉社)を描いたという。コメディ要素が各所にある中で、胸を打たれるシーンも数多くあり、エックスで投稿された作品は200万回を超えるインプレッションを記録している。
今回は、本作の魅力に加え、作者はどのような思いで創作を行っているのか。Kimuraさんに話を聞いた。また、本記事では特別に『お葬式にJ-POP』の第一話を掲載する。
故人や遺族、主人公の人間模様こそ読みどころ
本作と同様に、新卒で葬儀会社に就職したkimuraさんは、どのような経緯で創作活動に打ち込むことになったのか。Kimuraさんが話す。
「大学入学を機に本格的に漫画家になることを目指し投稿や持ち込みなどしておりました。
ですが在学中に芽が出ることはなく、そのまま就活を経て葬儀会社に就職しました。就職後も、雑誌への投稿やSNSへの漫画投稿は続けている中で、「葬祭スタッフの漫画」を白泉社の「マンガラボ!」(漫画投稿者と編集者のマッチングサイト)へ投稿させていただいたのが、本作を描くきっかけです」
本作は、ノンフィクションやエッセイではない。あくまで実話をもとにフィクション。当初は、シリアス路線よりもコメディ要素が強かったという。
「葬祭スタッフの仕事ぶりを見せるようなコメディものだったのですが、(白泉社の)担当さんから『ドラマ風にしてみませんか?』とご提案頂き、今の『お葬式にJ-POP』ができ上がりました」
笑いや涙、現実に起こるハードな出来事など、さまざまな要素を含んだ本作の魅力について、kimuraさんは次のように話してくれた。
「主人公のあかりが人の死をきっかけに出会った故人様やご遺族さん、そしてまわりの人々の人間模様を、あかりと共に垣間見る所です。そして、葬儀を見届けるあかりの心情も読みどころだと私は思っています」
こうした思いの中で発表された作品は、数多くの読者から支持され、SNSでは大きな反響を得た。この状況について、kimuraさんは驚きの表情を見せる。
「思っている何倍も沢山の方々に読んで頂けて驚きました。おそらく今年の運は使い切ったと思います。また、葬儀の現場で働いてる方からコメントがあったり、冒頭に描かれている電車がどこの電車かなどと特定するコメントなどがあり、読んでいて楽しかったです」
そして今後の展望についても、「毎日、誰かがいい意味でも悪い意味でも『お葬式にJ-POP』について語ってくださり、エゴサのしがいがあるぐらい、より多くの方に読んで頂きたいです」と、本作の魅力を届け続けたいという。これからどのようなエピソードが飛び出すのか、今後も見守っていきたい。
<kimuraさんInformation>
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