プリゴジン氏はプーチン大統領に暗殺されたのか…ウクライナ人の学者は「間違いない」 日本にできることは?

深月 ユリア 深月 ユリア
プーチン大統領
プーチン大統領

 ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン氏がモスクワ北西で23日に墜落した小型機に乗っていたとみられることについて、ロシアのプーチン大統領は24日に哀悼の意を表し、死亡したとの認識を示したと、国営テレビが報じた。一方、米シンクタンク「戦争研究所」は、そのプーチン大統領側によってプリゴジン氏が暗殺されたことは「ほぼ確実」との見方を示している。この「暗殺説」について、ジャーナリストの深月ユリア氏が、ウクライナ出身の国際政治学者に見解を聞いた。

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 ロシア非常事態省によると、モスクワからサンクトペテルブルクに向かうワグネル関連会社が所有する自家用ジェット機が墜落し、生存者はいないという。同機にはエフゲニー・プリゴジン氏や同氏の側近であるドミトリー・ウトキン氏が搭乗していた。両氏らワグネルの部隊は6月23日にプーチン大統領に対して反乱を起こしていたため、複数の識者から「暗殺されたのではないか」という見解がある。

 ウクライナの国際政治学者で、「ロシアのウクライナ侵略で問われる日本の覚悟」などの著者、アンドリー・グレンコ氏に取材したところ、同氏も「間違いなく暗殺である」と主張する。

 -その根拠は。

 「あの飛行機にはブリゴジンのみならずワグネルの幹部が搭乗していました。プーチンとしては一度に暗殺できるから好都合でしょう。もし、ブリゴジンらワグネル幹部を反乱罪で裁判するとなると、ブリゴジンの支持者を盛り上げる要因にもなります。再反乱を起こす要因にもなるから不意討ちしたのです」

 -ロシア国民も「暗殺」だと考えるのか。

 「あからさまですからね。これで、ロシア国内でプーチンに反抗する意見を言うのはさらに難しくなるでしょう。独裁者に絶対服従するか、独裁者を転覆させるしか選択肢がありません。倒さないで独裁者に何かを訴えることはできなくなります」

 -今後の戦況はどうなるか。

 「ウクライナの攻勢は続きますが、11月は雨が多い時期で、地盤が緩み戦闘に不利になります。11月までにどこまで攻勢を進められるか。アゾフ海あたりまでたどり着けば、今年の目標は達成で来年はクリミアを目指すでしょう。しかし、それがかなわない場合、来年は戦争の初期の事態からやり直しになる可能性もあります」

 -今、日本がウクライナ支援でできることは?

 「日本が(一定の条件下で)武器輸出できるようになったのはありがたいことで、引き続き武器支援をお願いしたいです。ウクライナの攻勢が遅い理由はウクライナ軍の装備が不十分で、その理由は支援国による武器支援が不十分だからです。航空機をはじめ、ウクライナ軍への装備提供を加速、拡大することです」

 ロシア国内で「恐怖による支配」によって反乱分子を鎮圧していると、西側諸国からみられているプーチン大統領。戦争を終わらせるには、内部の反乱ではなく、国際社会が一丸となってウクライナを支援するしかない…とする見解もあるが、具体的な打開策に関しては先行きが見えず、一筋縄ではいかない状況だ。いずれにしても、今後の動向から目が離せない。

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