ペットが死ぬと〝幽霊〟になって飼い主の元に戻ってくる!? 不思議現象の論文や証言も、心理学者が分析

深月 ユリア 深月 ユリア
 ※画像はイメージです(famveldman/stock.adobe.com)
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 かわいがっていたペットの死後、飼い主の多くが「不思議な体験」をしたとする研究報告があるという。ジャーナリストの深月ユリア氏が複数の証言を紹介し、その心理面について識者の見解を聞いた。

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 米メリーランド大学コンピューターサイエンス学部准教授のジェニファー・ゴルベック氏が3月25日にインターネット上に発表した論文によると、愛犬を亡くした飼い主の多くが不思議な体験をするという。

 論文によると、「愛犬が亡くなった後に何らかの超常的な体験をした」という報告が多数ある。48%の人が「亡くなった愛犬の気配を感じて」いて、37%もの人が「亡くなった犬の吠える声や床を歩く音を聞いた」という聴覚的な体験をしていいるという。中には「愛犬の幽霊を目撃した」「愛犬がベットやソファーで寝ている気配を感じた」「愛犬が夢に現れ、その夢は通常みる夢と異なる鮮明な感覚があった」という報告や、「家の中で物が動いたり、ポルターガイスト現象が起きた」と信じている人もいた。
幽霊というと怖いイメージを持つ人もいるだろうが、研究によると74・6%もの人が愛犬の幽霊や不思議な現象との遭遇によって安らぎを感じているという。

 この研究に限らず、またペットは犬に限らず、ペットがもたらす超常現象について複数の体験談を聞く。中には、「ペットの霊によって精神的に癒された」のみならず、「病気が治った」「危機を救われた」と語る飼い主もいる。

 画家・俳優の庄司哲郎氏は愛猫が亡くなった際に不思議な体験をした。「今でも亡くなった猫ピノの気配を感じます。さらに不思議なことに、その猫は以前に飼っていて、俺が心臓の疾患にかかって直後に心臓病で亡くなった猫モグに容姿も癖もそっくりでした。ピノが亡くなってから、俺の心臓の疾患はいつの間にか治ってましたが、モグとピノが身代わりになってくれたのかもしれません」

 猫を多頭飼いしている松田ロンメイ氏(40代、外国車ショールーム勤務)は愛猫が亡くなってから「今でも気配を感じます。特に辛いことがあると、私を慰めるかのように膝に乗ってくる、という感覚が時々あります。さらに不思議なことに、運転中にその猫が膝の上に乗ってきたという感覚を感じた時に、スピードを緩めたのですが、その時まさに信号無視した車が目の前を走っていて、事故の一触即発だったのです。亡くなった愛猫は私の命を助けてくれたのかもしれません」

 インコを亡くした飼い主に「亡くなってから、鳴き声を聞いた」という体験談も聞いたことがある。

 筆者も愛うさぎ(※愛兎=あいと)が亡くなってから、しばらく寝ている時に枕元で気配を感じ、布団の上で飛びはねて、頭の上に乗った感触も感じたことがあった。

 このような現象は本当にペットの幽霊が引き起こすものなのか?

 心理学者の富田隆氏によると、「『幻肢』という現象が知られています。自己や病気などで失った手や足が、あたかも存在するかのように感じるのです。もちろん、本人は、自分にはその手や足がないということを理解しています。しかし、喪失の現実を頭では分かっていても、心では自分の手や足があるかのように感じてしまうのです。私たちには、自分にとって『大切な(愛している)』何かを物理的に失っても、これを心理的には受け入れられないという傾向が備わっています。そして、こうした喪失対象の範囲は自分の手や足だけに止まらず、信頼や愛情関係で結ばれたペットや家族、恋人などにも及ぶのです。特にペットと飼い主は純粋な愛情で結ばれている場合が多いので、失ったペットがあたかもそこにいるかのようなリアルな錯覚を感じることが少なくないのだと考えられます」

 しかし、富田氏は同時に「すべての現象が心理学、科学的に説明できるとは限らない」とも述べる。「私個人としては愛情などの強い思いがあれば、人間の精神は時空を超えられると考えておりますし、魂は不滅だと信じています」

 同論文も、「これまでの心理学のアプローチは超常現象には否定的なものだった。しかし、ペットの死による超常現象的な体験は残された飼い主にポジティブな影響を与えるもので、心理学とは切り離して考える必要もあるのではないか」と締めくくっている。

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