義務教育期間中、誰もが手に取ったことがあるであろう国語の教科書。その国語教科書において大きなシェアを持つ光村図書出版が、「教科書クロニクル」というWEBサイトをオープンした。
この「教科書クロニクル」は、光村図書出版が刊行してきた歴代教科書のデータベース。生年月日を入力して検索すると、その学年で使われていた小学校と中学校の国語教科書の表紙、そして収録されていた教材の一覧が見られる。自分の生年月日で検索しても懐かしさに浸れるし、「最近の子供が使っている教科書はどんなものなんだろう?」「自分が生まれる前の教科書はどんな内容だったんだろう?」といった疑問にも答えてくれる。
そんな「教科書クロニクル」に対してSNSでは
「教科書クロニクルやってみたけど、懐かし楽しかった」
「ネットみて夜更かししてたら、こんなの見つけて郷愁に浸ってる…タイムマシンがあったら小学生の時代を見に行きたい。」
「たまたま見つけたのですが、「こんな作品あった!」と、懐かしい気持ちになれるのでもっと広めたい。」
などの反響が寄せられている。
この「教科書クロニクル」に関して、ねらいやおすすめの使い方を光村図書出版に聞いてみた。
──「教科書クロニクル」を開設した理由を教えてください。
担当者:光村の教科書をかつて使っていた方から「あの物語をもう一度読みたい」「作品のタイトルを思い出すことができない」といった問い合わせが多く寄せられています。そのため、20年ほど前から、改訂年度ごとの教科書の表紙と主な教材一覧をサイトに掲載していました。
今年、光村図書のコーポレートサイトをリニューアルするにあたって、もう少しみなさんに楽しんでもらえるようにと、生年月日で当時使っていた教科書を検索できる機能を追加しました。
──サイトの構成の中で、特に工夫した点はどこでしょうか?
担当者:このコーナーのコンセプトの一つは、「あの頃の自分に出会う」というもので、教科書がタイムマシンの扉のような役目を担えたらいいなと思っています。そのため、ちょっとした遊び心で、小学校と中学校の入学の年の、世の中のできごとも表示されるようにしています。
──さまざまな使い方ができるサイトだと思いますが、光村図書様おすすめの使い方はありますか?
担当者:私たちに限らず、全ての教科書会社は、日本の未来を担う子どもたちのために教科書を作り続けています。教科書クロニクルをきっかけとして、大人の方々にも、子どもたちや教科書にもっと興味をもって目を向けていただきたいと思います。もし、お子さんやお孫さんがいらっしゃったら、今どんな教科書を使って、どんな勉強をしているのか興味をもっていただければうれしいです。
それから、昔教わって、なんとなく覚えているお話も、大人になってから読み返すと、また違ったおもしろさを発見することができると思います。たとえば宮沢賢治の「やまなし」などは、よくそういう声を聞きます。ぜひ、気になるお話があったら、もう一度読み直してください。
──「教科書クロニクル」に関して、どのような反響がありましたか?
担当者:公開日の7月7日から昨日25日まで、検索数が100万回を超えています。
Twitterでは、「表紙の手触りとか、落書きした事とか思い出した」とか「当時の教室や友達、先生の様子などが一気によみがえった」など、懐かしさがこみあげてくるといった声が多く寄せられました。
──「教科書クロニクル」への反響に関して、ご意見やご感想がありましたらお聞かせください。
担当者:最近中学校を卒業したという若者から、年配の方までさまざまな方のご感想をいただいています。改めて、広い世代で、教科書に強い思い出をもっていらっしゃる方が多いのには驚きました。
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「教科書クロニクル」には国語教科書の検索機能のほか、収録作品のあらすじや編集時のエピソードが綴られたコラムも掲載されている。光村図書出版のこだわりと歴史に触れられる内容となっているので、ぜひアクセスしていただきたい。
「教科書クロニクル」:https://www.mitsumura-tosho.co.jp/webmaga/chronicle