重さ問題に一石 軽さ追求の新ランドセル マイナー形状の「半かぶせ」から発展

山本 鋼平 山本 鋼平
ポーズを決める(左から)竹野谷桜さん、加藤柚凪ちゃん、嶺岸煌桜くん=都内
ポーズを決める(左から)竹野谷桜さん、加藤柚凪ちゃん、嶺岸煌桜くん=都内

 ランドセル製造大手のハシモトが7日、都内で会見を開き、200種類以上が登場するランドセルブランド「フィットちゃん」の2024年モデルを発表した。橋本昌樹社長(31)はランドセル業界の現状とともに、新形状ランドセル、新カラーモデルへの思い入れを説明した。

 ランドセル工業会、同社が行った調査によると、2022年度のランドセル市場の推定規模は507億円。入学児童数は20年前から15%減少し100万人を切ったが、ひとり当たりの平均購入額は上昇傾向にあり5万6425円となった。また、通学用のナイロン製リュックが参入しているものの、約9割はランドセルを選択しているという。

 近年は小学生教材の重さが話題となっている。同社の調査では教材の重量は増加しており小学1~2年生が3キロ、同3~4年生が4キロ、同5~6年生が5キロ。〝重さ問題〟を受け、ランドセル購入の検討時は色、デザインに加えて、軽さが重視されるようになった。一方で実際に購入する際は保証、耐久性、機能、容量など他にも多くの要素が絡み合う。購入理由のトップはダントツで「子どもが気に入ったから」だという。

 橋本社長は「軽さ」への注目について「20年程前に各メーカーが軽さを追求したが、耐久性の問題などから浸透しなかった。また、ランドセルを軽くしても、当然ですが教材を軽くすることはできない」と言及。一般的なランドセルは1000~1300グラムで通常は1200グラム程度、ナイロン製リュックは900~1200グラムが主流。「その重量差200~300グラムは教科書1冊程度です。子どもたちがいかに軽く感じ、体への負担を減らせるか」と、同ブランドの機能である肩ベルトのクッション材の厚みを2倍以上にした「楽ッション」、肩のベルト付け根〝背カン〟の位置を調整し背中との接触面積を増加させ負担を軽減する「フィットちゃん背カン」の機能を説明した。また、タブレット機器などを保護する観点から、ナイロン製よりもランドセルの数値が優れている実証結果も提示した。

 その上で、橋本社長は「子どもにとっての最適はそれぞれ異なる」として、あらゆる子どもの個性に応じた多種多様なラインナップの必要性を掲げる〝全方位戦略〟を提唱。その一環として開発した、同ブランドで史上最軽量となる新形状ランドセル「ゼロランド」を公開した。

 ゼロランドはランドセルの中ではマイナーな形状である「半かぶせ」をバージョンアップ。子どもへのヒアリングを元に、デザイン性を求めて、かぶせは5割ではなく7割程度になった。固定金具をマグネットにし、最も容量の大きいメインポケットは確保しつつ、最も収納量が少ない前ポケットの形状を大胆に変更するなどした。最軽量モデルは940グラムと、1000グラムを切る軽量化に成功した。

 ほかにもジェンダーフリーの観点から、赤やピンクなどのアクセントカラーが映える新モデル、流行のスモーキーカラーを取り入れた新モデルなども発表。橋本社長は「社会の変化に応じて人々の価値観も変わってきている。ランドセルもアップデートしていかなければなりません。その一方で、根本の考えは変わりません。子どもがうれしいもの、それは親御さんも私達も社会にとっても一番うれしいという考えです」と話した。

 会見では「フィットちゃん」の新CMを発表。スモーキーカラーを背負った小5の竹野谷桜さん、ゼロランドを用いた小1の加藤柚凪ちゃん、黒にピンクのアクセントが映えるモデルが背中で際だった小5の嶺岸煌桜くんが、それぞれの魅力を語った。

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