お賽銭を投げ入れてはダメ? 神社参拝に心懸けると良いこと

ぽすわんのカノー ぽすわんのカノー

一年の計は元旦にあり。みなさんはもう初詣は済ませただろうか?

実はあまり参拝の作法がよくわかっていない筆者は、いつも周囲の様子をうかがいながらお詣りをしている。でも、作法を知らない人は筆者だけではないと信じたい。気持ちよく新年を過ごすためにも、この機会に初詣と神社参拝の作法について学んでみたいと思う。

自身も神職であり、神社や神道に詳しい「神道国際学会」理事長の三宅善信氏に話を聞いた。

ーーそもそも初詣というのは、何のためにお詣りするのでしょうか?

三宅善信(以下「三宅」):クリスマスのミサも正式には前夜から始まるように、古来、カミと人が出会うのは、辺りが夜のとばりに包まれた時間帯でした。年越しは、家々の代表が氏神の社に籠もって各家の繁栄を願う厳粛な年中行事でした。それが、近代になって時計が普及し、深夜の0時という宗教的には何の意味もない通過点をもって「新年を迎えた」ということになりました。明治中期になって各地に鉄道が開通すると、鉄道会社や神社仏閣側の宣伝競争もあって、人々が何カ所かの有名な神社仏閣へ集中的に参詣するようになり、「初詣」という新しい言葉が生まれました。ですから、本来は近所の氏神様に静かに参拝して各家の繁栄を祈るのが「正しい初詣」だと思います。

ーー初詣の流れについて教えてください。

三宅:目的の神社に到着したら、俗世から神聖な領域を結界している鳥居をくぐって、決められた参道を通って参拝してください。手水舎で手と口をすすいだら、お喋りするのも謹んでください。道中で露店などに立ち寄って、飲み食いするなどはもってのほかです。

本殿の前に達したら、お賽銭を上げるのですが、「賽」とは、「カミから授かった福徳への感謝のしるしを奉る」ということですから、紙で包んだ貨幣を丁重に神前の賽銭箱へ供えましょう。拝礼の仕方や拍手の回数はそれぞれの神社で異なりますので、統一的な基準はありません。あくまで、真心を込めて祈ることが大切です。御札等を授かった場合は、丁寧に持ち帰り、自宅の神棚に供えましょう

ーーお賽銭について「お金を投げつけるのは良くないのではないか?」「いや銭音が厄払いになるから投げるべきでは?」などと様々な意見があるようですが、そのあたりはいかがでしょうか?

三宅:マスコミがニュースで取り上げる初詣風景は、三が日の間だけでも何十万人、何百万人も参詣する有名な神社仏閣ばかりです。人混みに押されて賽銭箱の前まで到達できない人々が仕方なしに賽銭を投げている風景が映り、それで「賽銭は投げるもの」と勘違いしている人も居るようですが、丁重に神前に供えるという趣旨からも明らかに間違っていますし、自分より前方の方の後頭部にコインが当たったりしても危険です。それに、地元の氏神様へ詣でれば人混みはないので、丁寧で落ち着いた参拝ができるでしょう。

日本の神祇信仰の良いところで、全国各地に多種多様な伝統を有した神社がコンビニの総数よりもたくさんあるので、中には人々の喧噪を好む神様も居られるかもしれません。私が紹介した初詣の仕方はあくまで原則的なものですから、細かいところは、各地の神社か地域の長老の方に尋ねてください。そのほうがきっと、自分も伝統文化を担う地域の一員だという自覚につながると思います。

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なんとなく習慣的に行っていた初詣、神社参拝にこのような意味があったとは……。この取材を通じて、何事も所作、作法といった形だけでなく意図、理由をともなった中身が大切だと改めて気付かされた。

また、ついつい「お正月はお休みだから遠出をして、有名な寺社にお詣り旅行に出かけよう」と思いがちだが、静かに地元の氏神様にお詣りすることの大切さ、その意義についてもよくわかった。筆者は、早速、地元の神社に出かけようと思う。

皆さんもそれぞれにお住まいの地域で、ずっと人々を見守ってくれている氏神様を訪ねてみてはいかがだろうか。

それでは、本年もよろしくお願いいたします。

神道国際学会 : http://www.shinto.org/wordjp/

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