ウサギは「つき(運)を招く」!? 全国の〝ウサギ神社〟を紹介、縁結びや傷の治癒などご利益も

深月 ユリア 深月 ユリア
調神社の手水(ちょうず)舎では、石像となったウサギの口から手水が流れている=埼玉県さいたま市(撮影・深月ユリア)
調神社の手水(ちょうず)舎では、石像となったウサギの口から手水が流れている=埼玉県さいたま市(撮影・深月ユリア)

 2023年の干支(えと)はウサギ。ジャーナリストの深月ユリア氏がウサギに縁のある神社を紹介する。

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 ウサギ年が始まった。十二支の一つであるのみならず、古来、「つき(運)を招く」という伝承がある。その伝承は、かつての加賀(石川県)の「ウサギ伝説」に始まるという。

 石川県の「ウサギ」をテーマにした観光施設「月うさぎの里」のホームページ(HP)によると、その伝説とは「江戸時代、鳥見徳兵衛という役人が春に傷付いた白ウサギ助けた。その秋、大雨が続いて加賀一帯の農家が大損害を受けた時に、徳兵衛が助けた白ウサギが現れて、突如、大雨が止み、夜空には美しい月が輝き、村は大豊作に恵まれた」というものだそうだ。日本各地にはウサギを奉る神社もあるが、代表的な社をご紹介する。

 【調(つき)神社】埼玉県さいたま市浦和区にあり、御祭神は天照大御神(あまてらすおおみかみ)などだが、ウサギを神使としていて地元では「つきのみや」の愛称で呼ばれている。 さいたま観光国際協会のHPによると、「調」が「月」と同じ読みであることから「月待信仰」と結びつくようになったという。

 境内にはさまざまなウサギのオブジェがある。筆者が22年5月、調神社に行った際、驚いたことに本社(入口)に鳥居がなかった。 同協会のHPよると、鳥居がない理由は「伊勢神宮へ納める貢物搬出入の妨げにならないため」だと伝えられているそうだ。筆者が実際に足を運んで確認した現場の様子をリポートしよう。

 神社の入口では、こま犬ならぬ2体のウサギの石像(狛兎)が出迎えてくれる。手水舎には大きなウサギの口から手水が流れていて、拝殿の天井からつり下がっている飾りにもウサギが描かれている。境内奥にはさいたま市指定天然記念物になっている境内林と池(神池)があり、池の噴水もウサギの口から水が流れている。絵馬にもウサギが描かれ、ウサギの御守りの販売もある。筆者が調神社に問い合わせたところ、わりとこじんまりした神社であることもあって「正月の大混雑による密が心配」とのことなので、初詣は三が日以降がよいかもしれない。

 【東天王 岡崎神社】平安京の東に建てられたことから「東天王」と呼ばれる京都の岡崎神社は社のHPによると主祭神は応神(おうしん)天皇・仲哀(ちゃうあい)天皇・神功(じんぐう)皇后・宗像三女神(むなかたさんじゅしん)だが、ウサギを神使としている。手水舎には月を見上げた黒いウサギの像があり、「ウサギの像に水をかけて、お腹をさすりながら祈ると子宝に恵まれる」という伝承がある。

 【白兎(はくと)神社】鳥取県鳥取市にあり、神社のHPによると、日本最古の書物「古事記」に記されている神話「因幡の白ウサギ」の白兎神を主祭神とする。白ウサギの石像、白ウサギが描かれた絵馬や御守りがある。神話で「ワニザメによって毛をむしりとられた傷が大国主命(おおくにのみこと)の助けで治癒された」という描写があることから傷の治癒にご利益がある神社として、また「白ウサギが出雲の大国主命と因幡の八上姫(やかみひめ)の縁結びをした」という伝承から、縁結びのパワースポットとしても知られていて、10年には「恋人の聖地」に認定された

 筆者が白兎神社に「普段からウサギ愛好家である方がご利益あるか?」と聞いたところ「そんなことはない」そうだ。神様は人類を平等に見るということだろう。また、年末に電話した時も初詣準備でとても忙しそうにしていて、「12年前のウサギ年は参拝客が2-3倍増えました。今年も増えることが予測されます」とのこと。

 ウサギ神社にお参りして「つき(運)」を良くしよう。筆者はウサギを2羽飼っているが、のんびりしたマイペースな生き物なので、コロナ禍の密を懸念して初詣は急がず混雑しない時にゆっくり行けばよいだろう。また、ウサギは怖がりでとてもデリケートなので、お参りする際にウサギの毛皮やアンゴラを身につけるのは避けた方がよいかもしれない。

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