ウエストランドの優勝で幕を閉じた漫才日本一決定戦「M―1グランプリ2022」で、初めて審査員を務めたタレント・山田邦子の採点が、大いに話題となった。山田は決勝戦終了直後、よろず~ニュースの単独取材に応じ、審査やコメントの真意、大会全体への思いなどを赤裸々に語った。
今年の審査員は、常連のオール巨人と上沼恵美子が〝引退〟を表明していたことで、例年以上の関心事となっていた。オファーを受けたのは「夏の終わり、秋の頭ぐらいだったかな」と明かし、緊張や重圧については「全然なかった」とサラッと答えた。
同じ女性芸人のレジェンドとして、上沼の後継者とも見られた。だが山田は「私は別に『上沼枠』だとも思えないし、まあ、顔のしゃくれ具合からすると『紳助枠』だったのかな?とも思いますけど」とニヤリ。「上沼さんは大先輩ですし、その後を私が務められるとも思ってないですし、また別の生き物と思っていただいた方がいいんじゃないでしょうかね」と受け流した。
審査員への注目度も高い番組に「審査員が審査される番組って珍しいですけどね」と笑いつつ、「やっぱり、今日のお客さまに、生でウケた人を純粋に選ぶっていうことでは一致してましたね」と説明。「点数を調整し合うようなことがあったら嫌だなと思ってたんです。みんなで何か〝阿吽の呼吸〟みたいなのがあったら嫌だなと思ってたら、ないんですね。本当に審査員もガチでした。そこらへんは清々しかったです」と〝舞台裏〟も明かした。
トップバッターのカベポスターに84点、2番手の真空ジェシカに95点を付けたことで採点基準について物議を醸し、「ブレ過ぎ」といった非難も浴びた。自身の基準について山田は「私ね、平均点を80点と考えていたんです。だから私の中では、4点も足したんだから、かなりいい点をつけたんと思ったんですけど、みんなが90以上出してきてた。決勝ともなると。面白いのは当たり前だからね」と淡々と説明。「私は今日は、真空ジェシカが一番面白かったと思います。ちょっと扱いにくい高齢者のネタだったのに、とってもよく練れていて。大会の空気感をガラッと変えてくれたのは、真空ジェシカだったなって思いますね。もちろん、カベポスターもすごく面白かったですよ」と話した。
採点に批判的な声が多かったことには「いいんじゃない?それは(番組を)見てるんだから。見てない人より全然いい」とあっけらかん。「みんなでやいのやいの言うということが人気番組なんだから、それはいいんじゃないですか。それぞれの感覚が違うのは仕方ない。全部面白くて、その中の順番をつけているのであって、その中で好みは出ると思うんですけどね」とし、「やっぱりウケたら、それが勝ちなんですよね。自分では、的確にちゃんとやったなと思いますけどね。いろいろ言うヤツは、いつだって言います。もう、私が審査員だって発表になった時から面白くないわけですから」と苦笑い。「今日は(島田)紳助さんともメールでやり取りしたんですけど『審査員が審査されて、みんな嫌だから、誰も受けてくれなくなったんや。だからありがとうな』って返事が来ました。今日もツイッターとかにアンチのコメントがいっぱい来てるから、これから返信をしなきゃいけない、悪いこと言ってきますよ~。『ほら、心配した通りだった』とかね。だから『心配してくれてありがとう』ですよ」と豪快に笑った。
ネタ後のコメントで技術面にあまり触れなかったことについても言及。「みんな、決勝進出者たちなんですよ。もっと下の子にだったら、いろいろ言うかもしれない。でも決勝は、面白いから選ばれてる子しか出てないんで、言うことはなかったですよ。『こういうところは好きだ』『こういうところはいい』っていうことは、せっかく会えたんだから言っておこうと思って」と真意を語った。
さらに「私も審査されることは何回もありましたけど、ネタのことを言われてもね…。『お前に何がわかるんだよ?ならお前がバスガイドやってみろよ』ってことになるし、そこに突っ込むことはない。ネタは自分たちのものだからね」と持論も。「別に先輩風吹かそうっていう気持ちもないし。悪かったことは、本人たちが気づいてますよ。ここ突っかかったなとか、ここ受けなかったなとか、絶対に本人たちも気づいているから、私が言わなくてもいい。でも、『いいよ』っていわれたら私もうれしいし、自信にもなるし、そこが今後さらに伸びればいいことだと思う。もうちょっと辛口を担当しても良かったのかとも思いますけど、そんな辛口を言うようなことがなかったからね。みんな面白かったから」と語った。
大会全体については「すごく面白かった。ただ、最後の決勝で、できれば1組だけ、絶対的に突き抜けて欲しかった。3組のデキが同じくらいだったから。みんな悩みながら押して、結局は全員同じような形になったから、あれで合ってたんだとは思いますけどね」と総括。「決勝に出たみんなは今ごろ、何か放心状態というか、この何カ月かの緊張から解放されて『ああ、終わったんだ、M―1…』ていう時間なのかなって想像しますね。しばらくゆっくりして、またやっぱりお笑いが好きだな。漫才が好きだなっていう風に気持ちを取り戻してもらいたいですよね」と、敗者たちの気持ちも慮った。