「今日中に無料で絵を描いて!」「この度は、無料ペイントのご依頼をいただきありがとうございます。申し訳ございませんが…」。AIが考えた、仕事の依頼を穏便に断るメッセージがツイッターで注目を集めた。ツイート投稿主によると、「断る文」や「謝罪文」など、返信に悩みがちな”人間がAIに奪われたい仕事”を十数秒でこなすサービスだという。
話題になったのは、今年6月に公開されたAIコピーライティングツール「Catchy(キャッチー)」の「断る文章」を考える機能。相手の要望を入力すると、AIが「ご希望に沿うことができません」「ご理解いただければと思います」「また、将来的に絵を依頼することを検討していただければ幸いです」と、角の立たない返信を生み出す。提案される複数通りの文から適したものを選び、最終的には人間の意志で返信することを想定している。
ツイートの投稿主で同サービスを手がけるデジタルレシピ社の技術責任者・古川渉一さんは「何かを断ったり、どうしてもネガティブなことを言わないといけなかったりというタスクがあるだけで、『あれ返さなきゃ…』と本当に集中したい仕事に集中できないことがある。AIに当たり障りのないものを作ってもらって、自分で多少手を加えて送ることで、本当に自分が集中したいことに時間を使ってもらうことを目指している」と話す。AIが人間の仕事を奪ってしまうのではないかという〝脅威論〟が語られることに対し、「(Catchyは)本当に奪われたいと思っていることを奪ってくれるヒーローになりたい」と説明した。
他にも、ラブレターを渡す相手とシチュエーションを入力すると、ロマンチックな表現の文が作られる機能や、謝る理由を端的に入力するだけで長い謝罪文が作られる機能、元カレ・元カノへのLINEメッセージを作る機能などがある。
本来はメッセージ作成ではなく、主にキャッチコピーを作るサービス。「1を言うと100が返ってくる」ことが特長で、入力したわずかなキーワードから商品説明文を膨らませたり、YouTubeの企画案を量産したりできるという。サービス提供開始から約2カ月で、利用登録者数は約6500人に。法人利用もあり、広告代理店が企画を考える時にも活用されている。