首相就任から1か月が過ぎた石破茂氏だが、強行した衆院解散総選挙では与党過半数割れの惨敗を喫し、少数与党として厳しい局面を迎えている。「逆風」の中、厳しい批判にさらされる日々が続いているが、実は「猫に好かれる」という一面もあるという。石破首相と交流のあるジャーナリストの深月ユリア氏が、その素顔を紹介すると共に、猫に好かれる要因を識者に聞いた。
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「猫好き」で有名な石破首相。2020年2月に放送されたBSテレビ東京の番組では「子どもの頃に捨て猫を拾って押入れに匿っていた」という経験を語っていた。同氏は猫から好かれやすいようで、「どんな猫も石破首相になつく」「テレビで石破首相の映像が流れると、飼い猫たちが寄ってくる」と、猫好きの人たちがインターネット上でささやいているという。
筆者は何度か石破氏と取材やシンポジウムで会っているが、 石破議員事務所には子犬・子猫の写真を掲載した愛玩動物政策に焦点を当てたポスターが飾られていた。石破氏はとても真面目だが、媚(こ)びずにマイペースで、自分自身をしっかり持った性格は「犬派男子」というよりは「猫派男子」といえる。
ある時、筆者も活動している動物愛護団体関係者を石破氏に紹介した際に、同氏は自ら「猫に好かれる」と公言していた。
石破氏はなぜ猫に好かれるのか。「アニマルウェルフェア」(東京大学出版会)などの著者がある東北大学名誉教授で動物行動学者の佐藤衆介氏に取材したところ、石破氏の落ち着きのあるハスキーボイスは猫を安心させるのだという。
「猫の聴覚域はとても敏感です。人間が聞こえない音の領域も聴こえます。餌となるネズミの高音の声に敏感になるよう進化したもので、逆にスローテンポで、低音圧の和声的音声は動物を穏やかにします。猫は石破首相のようなハスキーボイス、つまり低い周波数の音には興奮しないのかもしれません」
声のみならず、石破氏の落ち着いた立ち振舞い、何より「愛猫家」としての態度が猫を安心させるのだそうだ。
「猫を含め動物に好かれるには、まず接する動物に好印象を持つことが必要です。好印象を持つと、自ずと動物に接する態度が変わり、柔和に目を見つめ、急激な動きなくなり、穏やかな音調で話しかけ、リズミカルに撫(な)でたりするようになります。石破首相は、幼少期より猫に好印象を持っていたといわれますが、猫と接するときに、政治家ではなく、一人の愛猫家として接するので、猫も安心するのではないでしょうか」
猫にとっても石破首相の誕生は好ましいことなのかもしれない。