元ボクシングWBA世界ライトフライ級王者でタレントの具志堅用高がYouTubeチャンネル「具志堅用高のネクストチャレンジ」を開設して1年になる。66歳の新人ユーチューバー・具志堅が、よろず~ニュースの取材に対して、新機軸への思いや展望を語った。
同チャンネルは昨年9月スタートで、現時点でチャンネル登録者数は24日時点(以下、同日時点)で約4万5000人。内容は、総合格闘家やキックボクサーらとの「格闘家コラボ」、自身の〝本業〟で解説や対談などを展開する「ボクシングトーク」、バラエティー色の強い「チャレンジ企画」の3テーマ。中でも、視聴回数がダントツで多かったのが「格闘家コラボ」で女子格闘家を相手にした「ドッキリ企画」だった。
その第1弾が、キックボクサー・ぱんちゃん璃奈が「秋葉原のメイド」スタイルでリングに登場した今年3月2日の配信回。「メイドがキックボクサーということに具志堅は気づくのか検証してみた」と題し、最初は「格闘技好きの初心者」を装いながら、具志堅のミットにキレのあるパンチ、さらには強烈なキックを自在に繰り出して、元世界王者をきりきり舞いさせた。視聴回数は最多の93万回を記録した。
第2弾は糸東流空手道二段で、看護師や女優として活動する長野じゅりあが登場した10月2日配信回。「美人看護師が世界チャンピオンだったら具志堅は気づくのか検証してみた」と題し、格闘技は素人の「看護師ユーチューバー」という設定を具志堅に信じ込ませ、ミット打ちで対面した。看護師姿の長野は最初こそ不慣れな演技をしながら、形で空手の世界大会を制した本領を徐々に発揮。鋭い蹴りをミットで受けた具志堅が脇腹に衝撃を受けて、思わず顔をゆがめる場面もあった。こちらの視聴回数は60万を超えた。
一方、「ボクシングトーク」ではガッツ石松、輪島功一といった先輩のレジェンドをはじめ、山中慎介ら元世界王者との対談、井岡一翔VS田中恒成など注目の世界タイトルマッチの解説など、しっかりツボを押さえている。また、「チャレンジ企画」では、同時代を駆けた「憧れの女優」宮崎美子とボードゲームに興じ、自身への「100の質問」では、「座右の銘は?」という問いに「4・0」(「左右の目」の合計視力か?)と即答するなど期待を裏切らなかった。
ただ、この2テーマは視聴回数が数千か数万というケースが多く、女子格闘家とのコラボ企画は数字的に突出している。関係者は「YouTubeを見る人は若い人が多いので、若い女性格闘家の方が高い数字になるのでは」と指摘。具志堅は「ぱんちゃんさん、一番すごかった。彼女は強いよ。びっくりする。鼻なんか蹴られたら終わりだよ。足腰強いね。長野さんは構えがボクシングじゃないから、あれ?と思ったら空手のチャンピオンだった。蹴り、ききました」と2人を絶賛した。
全体的に「格闘家コラボ」がより視聴されている傾向にある。昨年は那須川天心(約35万)、朝倉未来(約43万)と男子格闘家も視聴回数を稼いだ。関係者は「バラエティーはテレビもあるので、本業(ボクシング)と、スタッフがカジを切りたいと思っている格闘技をより強くしたい。格闘家の人たちを、具志堅さんという存在を通して押し上げ、裾野が広がれば」と今後の方向性を示した。
具志堅は「YouTubeの担当スタッフは格闘技が好きな方たちなんですよ。私もYouTubeを初めてから、K-1とか総合格闘技の試合を生で初めて見た。K-1はテレビでは見てきましたけど、初めて会場に行って、ボクシングよりお客さんを入れているなと実感した」と刺激を受ける一方、ボクシング界の底上げにYouTubeを通して少しでも貢献したいという思いがある。
「ボクシングのテレビ中継も減ってきたから、日本タイトルマッチとか、勢いのある有望選手の試合をYouTubeで中継できたら面白いと思いますよ。また、アマチュアにも力を入れていけたら。五輪種目なんだから注目されますよ。そして、ボクシングの対談企画では、辰吉丈一郎さんと話をしたいなと思っています。『なぜ引退せずにボクシングを続けようと思うのか?』と聞いてみたい。今はまだ、実現はなかなか難しいようですけど、いつか、できたらいいですね」
引退から40年。ジムは昨年6月に閉じたが、自身の人生そのものであるボクシングへの情熱は失っていない。ユーチューバー・具志堅の新たな挑戦は続く。
【具志堅用高のネクストチャレンジ】
https://www.youtube.com/channel/UCSRK2LqNpLei1p_HlhlYH-g