2021.04.08(Thu) 「ゆるキャン△」何でもない風景が描き出す、現代の絶妙な距離感 宮 昌太朗 「ゆるキャン△」12巻(C)あfろ/芳文社 それは『ゆるキャン△』の登場人物たちがみな、相手との距離を図るのが上手いからでもある。仲間うちだけで盛り上がるベタベタした感触とも、孤独に気を病むシリアスさとも違う、つかず離れずの距離感。『ゆるキャン△』では、みんなでわいわい楽しむグループキャンプと、ひとりでアウトドアを楽しむソロキャンプの、2種類の「キャンプの楽しみ方」が登場する。そして優劣をつけるわけでなく、どちらも同じように肯定する。この「他者への眼差し」が『ゆるキャン△』を、2010年代の「日常系」にしている鍵だろう。